JR東日本では,グループ経営ビジョン「変革 2027」における「次世代新幹線開発」を進めるための試験プラットフォームとして,設計・製作を進めているE956形「ALFA-X」について,このほど,その車両デザインを発表した.
エクステリアデザインは2種類の新たな先頭車両の形状を製作.1号車(東京方の先頭車)は,E5系とほぼ同じ先頭⻑としながらも,トンネル突入時の圧力波を抑えるとともに,室内空間を確保することの両立を目指す.先頭部の形状は,「削そぎ」「畝うねり」「拡がり」といった,風の流れによって作られる要素を取り込む.
10号車(新⻘森方の先頭車)は,先頭⻑を従来よりもさらに⻑くすることで,トンネル突入時の圧力波を抑えて環境性能を追求する.先頭部は22mにおよぶロングノーズとし,「台車部を覆うせり出した造形」「運転士を包み込む造形」「後方に向けて滑らかにつなぐ造形」の3つの造形で構成されている.
カラーリングは,周囲の色を取り込む明るいメタリックのボディに,自然と都市間における人々の活発な行交いを表した爽快感のあるグリーンの帯を配し,清々しさを感じる色彩としている.また,この「ALFA-X」によって人々や情報がより親密に行き交うようすを,クロス状の側帯で表している.ロゴマークは,クロス状の側帯の角度にあわせて整えた字体とし,「ALFA-X」の特徴である「IoT」や「AI」などのデジタルなイメージとし,水平ラインと右上がりのラインに段々と明るくなるグラデーションを用いることで,新幹線らしいスピード感と,先進的な技術を採用した新幹線が明るい未来につながることを表現した.
また,試験車両に搭載する各装置の概要も発表された.地震時に,より早く止まるための開発品として,空力抵抗板ユニットを屋根上に搭載するとともに,台車部分に取り付ける「リニア式減速度増加装置」の開発を進める.また,脱線しにくくさせるための開発品として,地震対策ダンパ,クラッシャブルストッパを搭載.車体・台車・軸箱などへの振動センサ・温度センサの設置により,台車の異常状態を把握する.さらに路線環境への対応として,着雪しにくい車体構造の試験として,新たな床下構造の試験も実施する.
このほか,より快適な車内空間の実現するため,動揺防止制御装置などが搭載される.また,環境性能を向上させるため,2種類の低騒音パンタグラフを開発し試験を実施する.また,地上設備や車両の各機器をモニタリングする装置により,データを収集・活用して,さらなる安全・安定輸送の実現とCBM(Condition Based Maintenance:状態基準保全)の実現を目指すとしている.
なお,試験車両は2019年5月に落成する予定.
写真はいずれもJR東日本のニュースリリースから