「鉄道模型コンテスト2018」は,2018(平成30)年8月5日(日)に最終日を迎え,「第10回全国高等学校鉄道模型コンテスト」の結果が発表された.
モジュール部門で文部科学大臣賞(最優秀賞)を受賞したのは,関東学院六浦中学校・高等学校.京都をモチーフに,夏のお祭りが行なわれている様子を表現した作品.川床が設置される川岸の微妙な段差を再現するなど,京都らしさの表現に力を入れたものとなっていた.
優秀賞を受賞したのは共立女子中学高等学校と国立呉工業高等専門学校.共立女子中学高等学校は,春の彼岸の時期の様子を再現.山梨県の寺,浜名湖の海苔の養殖,富士の製紙工場,千葉県勝浦の漁港というモチーフを限られたスペースの中に凝縮.人形の配置などで,それぞれの情景の中に物語を込めた作品となっていた.国立呉工業高等専門学校は山陽本線瀬野—八本松間「セノハチ」の一部を,初夏という設定で再現.川や山を自然に見えるように作り込み,人形の配置などで生活感を演出していた.照明や信号といったシステムも組み込み,夜の風景も楽しむことができる作品となっている.
加藤祐治賞を受賞したのは立教池袋中学校・高等学校.わたらせ渓谷鐵道の水沼駅をモチーフにした作品で,駅前の温泉施設はペーパーで製作されたオリジナル.山桜が満開になった春の駅の様子が再現されていた.NOCH(ノッホ)賞は広島城北中・高等学校.山陰本線保津峡付近の秋の情景を再現したもので,川下りの船や橋りょうなどの構造物には3Dプリンタの出力品が使用されている.線路沿や駅の周辺にはライトアップする照明も設置されていた.
ホルベイン賞を受賞したのは大阪府立佐野工科高等学校.Nゲージの線路と交差する形で6.5mmナローゲージを配置したレイアウトを出展した.ナローゲージは ダージリン・ヒマラヤ鉄道をモチーフとしたもので,走行する車両は自作されたもの.レイアウト下に配置したスピーカから蒸気機関車の音を流し,霧の演出も行なわれていた.
1畳レイアウトで最優秀賞を受賞したのは東京都立大崎高等学校.2年連続の受賞となった同校のペーパージオラマ部は紙で製作したレイアウトを毎年出展している.今回は長野県の山間の様子を再現した作品で,最下段にはリニア中央新幹線が走り,その上は飯田線の田本駅を再現した16.5mmゲージ.その上には,Nゲージで鉄橋を走る様子が再現されている.Nゲージの鉄橋も既成品とはせず,ペーパーをレーザカッターを使わず,手で切り抜いて組み上げた力作となっていた.加藤祐治賞を受賞したのは東京電機大学高等学校.東小金井に学校があることから,特急形車両の交替が進む中央本線をモチーフとして春の勝沼ぶどう郷駅付近を再現したレイアウトを製作.コントローラーの脇にはメンバーが製作した発車標を再現したモニタも設置されていた.
HO車輌部門で最優秀賞を受賞したのは大阪府立今宮工科高等学校の「JR西日本 D51200+35系4000番台」.D51 200は,真ちゅうキットを組み立てたもの.35系4000番台は,写真やWEBサイトの画像などを参考に製作したもので,屋根・クーラー・床下機器・座席パーツは3Dプリンタで出力したものを使用し,オロテ35とスハテ35展望部分の手すりは真ちゅう線で自作したものとなっている.加藤祐治賞を受賞したのは桐蔭学園高等学校の「東急1000系と小田急2220系」.HO車両の製作は初めてという部員が制作した車両は,台車など一部の部品を除いてペーパーでフルスクラッチしたもの.パンタ周りの配管は板紙で表現したほか,クーラーメッシュに金網を使用するなど,シャープな表現を目指したものとなっている.