JR東海では,2020年春から,在来線で使用しているトンネル覆工変状検知装置の機能を向上させると発表した.
同社では,トンネルの検査において,目視や打音による検査に加え,トンネル覆工変状検知装置(通称・トンネラス)を使用してトンネル内側の壁(覆工)の状態を定期的に確認し,必要な修繕を行なうことで,健全な状態を維持している.今回,このトンネラスの取替えにあわせて,より高精度かつ効率的な検査ができるように機能を向上させる.
現行のトンネラスは,道路上と線路上の両方を走行できる保守用車両(写真)により,トンネル内で線路上を走行しながらカメラで内側の壁の状態を撮影.施設係員が,撮影した画像と目視検査の結果を照合し,ひび割れの幅や長さを測定し,壁の表面の微細なひび割れを記した図面を作成する.この図面を過去の図面と比較することで状態の変化を把握し,保守区における目視による検査結果とあわせて修繕の必要性を判断している.
トンネラスの切替え後は,カメラの解像度を向上させることで,幅0.3mm程度のひび割れを検出できるようにする(現行は幅1mm程度).自動計測機能の追加撮影した画像上で,ひび割れ部分を特定すると,幅や長さを自動で計測できる機能を追加することで,ひび割れが進行した箇所とその進行具合をより正確に確認できる.
このほか,従来,専用の装置を使って列車とトンネル内側の壁までの距離を測定して,建築限界が確保されていることを確認していたが,今回,高精度のレーザをトンネラスに搭載することで,トンネル内側の壁の画像撮影と建築限界の測定を同時に実施できるようにする.また,このレーザはトンネル内部の表面の凹凸を高精度(1断面あたり10240ヵ所の測定点)に測定することができるため,目視やカメラで撮影した画像では確認が難しかった形状変化を,よりきめ細やかに確認できるようになる.なお,今回の設備投資額は約4.3億円となっている.
写真:JR東海のニュースリリースから