しなの鉄道では,2019年度から順次,新形車両を導入すると発表した.
現在,同社では115系22編成59両(観光列車除く21編成56両)を保有しているが,すべての車両が製造から約40年経過し,近年故障件数が増加していること,あわせてJRでの115系の廃車が相次ぎ,部品調達が困難化していることから,安全・安定輸送を確保するために早期の車両更新が必要と判断した.
2019年度から2026年度までの8年間に,2両編成26本(合計52両)を導入する計画で,収益性を考慮し,初年度の2019年度は有料ライナー対応車両3編成を導入する.これらは同社の第4次中期経営計画(2018〜2022年度)に位置づけられ,毎年の補助金や利用状況などによって,車両数や更新年数を必要に応じて見直す.総事業費は約110億円で,車両購入費などに対し国が1/3,長野県が1/6,市町が1/6,しなの鉄道が1/3を負担する.
製造は,総合車両製作所(J-TREC)が担当し,共通設計などによるコスト削減や安全性,他社での実績を考慮し,「sustina(サスティナ)」モデルを採用する.定員は2両編成でライナー用車両が228名(座席定員80名),一般用車両270名(座席定員100名)とし,車体は軽量ステンレス製.車内設備は,座席をセミクロスシート(シートピッチ540mm)とロングシートの組合わせとし,車いす対応洋式トイレ,自動制御方式による車内温度設定,ボタンによるドア開閉設備,台車への空気ばねの採用などによって,サービス向上や環境負荷・コスト低減を図る.
ライナー用車両については,座席をロングシート・クロスシートに転換できる構造とし,朝夕は有料ライナーとしてクロスシートで運用し,それ以外の時間は,ロングシートで一般車両として使用する.また,土休日は観光用の有料ライナーとして使用する.
なお,2019年度導入車両については,2018(平成30)年5月から2019年3月まで車両仕様の打ち合わせを行ない,2020年3月以降に納車,試運転を行ない,同年7月ごろに営業運転を開始する予定.
しなの鉄道,2019年度から新形車両を導入
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