
JR東海では東海道・山陽新幹線において,安全・安定輸送の確保および旅客サービスの向上を図るため,2023年10月から,東海道・山陽新幹線運用管理システム(通称:コムトラック)の機能向上を実施すると発表した.
「コムトラック」は,これまでも路線の延長や輸送力の増強に対応する形で改修を重ねてきたが,10世代目となる次世代システムでは,これまでの技術開発成果を活用し,列車の進路制御の仕組みや装置構成の見直しを行なう.
上写真:JR東海N700系1000番代「N700A」 編集部撮影 JR東海・浜松工場にて 2012-8-21 (取材協力:JR東海)

現在の「コムトラック」では,ダイヤが乱れた際,列車1の進路が開通する前に列車3が駅に接近した場合,システムが列車3の進路を優先(後続列車2は考慮しない)ため,列車1・2に遅延が波及するため遅延が長引く可能性がある(JR東海のニュースリリースから)

新しい「コムトラック」では,システムが列車1・2の進路を優先(後続列車2も考慮)することで,複数列車への遅延波及を防止し,遅延を長引かせないようになる(JR東海のニュースリリースから)
現状では,ダイヤが乱れた際に後続列車に発生しうる遅延を考慮せず,移動の条件が整った列車から順に進路を開通させていたため,後続列車への遅延が波及し遅延が長引く可能性があった.装置取り替え後は,後続列車に発生しうる遅延を考慮し,渋滞が発生しないよう進路を開通させることで,複数列車への遅延波及を防止し,遅延を長引かせないようにする.
また,装置の構成を見直し,現在計算機1台に集中していた機能を複数の計算機に分散し,システムトラブルが発生した場合の影響範囲を最小限に抑えることで,利用客への情報提供を安定させる.