JR九州は,821系とYC1系を新たに導入すると発表した.両形式とも「やさしくて力持ちの鉄道車両」をコンセプトに開発された近郊形タイプの車両となる.
821系近郊形交流電車は,最新技術のフルSiCを採用した主回路システムの搭載により,既存の415系電車と比較して消費電力量を約70%低減する.また,主変換装置(CI)や補助電源装置(SIV)の冗長性(信頼性)により安全・安定輸送を確保する.
YC1系は,蓄電池搭載形ディーゼルエレクトリック車両で,ブレーキ時に発生する回生電力を蓄電池に充電させエネルギーを有効活用し,エンジン駆動からエンジン発電式モータ駆動に置き換えることで,二酸化炭素などの排出量や騒音を低減する.さらに,蓄電池のアシストによる効率的な走行性能を実現し,既存のキハ66・67系気動車と比較して燃料消費量を約20%低減する.また,気動車で使用していた回転機器などの機械部品を減らし,電車部品を活用することで,気動車特有の不具合を少なくする.
両形式とも,ひとりあたりの腰掛座面幅を拡大するほか,出入り口に足元のホームを照らす照明および室内にダウンライトタイプのLED照明の採用する.また,乗降ドアは305系で採用している「スマートドア」とし,4ヵ国語対応の案内表示器(車内:マルチサポートビジョン,車外:行先案内表示器)が設置される.このほか,台車個別制御ブレーキシステムの採用や,車両・地上設備の状態を把握する状態監視システムの搭載,空調装置やブレーキ装置などの機器を共通化することでコストを低減する.
821系は3連2本が2018(平成30)年2月末に,YC1系は2連1本が2018(平成30)年6月に,それぞれ導入される予定.
写真:JR九州のニュースリリースから