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鉄道総研,鹿と犬の鳴き声を利用した鹿の車両接触事故防止手法を開発

鉄道総研,鹿と犬の鳴き声を利用した鹿の車両接触事故防止手法を開発

公益財団法人鉄道総合技術研究所では,走行する車両から「鹿の鳴き声(警戒声)と犬の鳴き声(咆哮音)を組み合わせた忌避音※」を吹鳴して,鉄道車両と鹿の接触事故を防止する手法を開発したと発表した.
 考案した忌避音は,鹿の警戒声と犬の咆哮音を組み合わせたもので,警戒声によって鹿の警戒心を喚起しておき,犬の咆哮音によって鹿を遠ざける.車両から忌避音を吹鳴することで,車両が接近する前に沿線から鹿を遠ざけることができ,また,走行する車両から吹鳴するため,従来の鹿止柵などを設置できない場所で有効としている.
 実験として,鉄道車両と鹿の接触事故が多い冬場の夕方から深夜にかけて,開発した忌避音を吹鳴しながら車両を走行させた結果,車両走行100kmあたりの鹿の目撃回数が13.6件から7.5件と約45%減少した.今後は,車両に搭載した状態で長期間の試験を実施し,その効果を検証する予定.

※忌避音...野生の鹿と犬の自然な声を録音して使用し,鹿が仲間に危険時に発する「ピャッ」という警戒声(約3秒間)の後に,鹿が嫌う犬の「キャンキャン」という咆哮音(約20秒)を続ける構成で,これを走行する車両から繰り返し吹鳴する.なお車両から吹鳴する場所は,沿線に騒音被害を与えずに効果が大きい場所を地理情報システム(GIS)を用いて選定している.今後は,北海道・四国・九州の山間部などでの検証と,あらかじめ選定した区間で自動的に吹鳴する装置の開発を進め,2018(平成30)年度中に実用化の目途を付ける予定.

画像:忌避音の利用イメージ(鉄道総合技術研究所WEBサイトから)

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