三菱電機は,高密度三次元レーザと,高速シャッターで一度に1ライン(縦8192画素,横256画素)の画像を撮影する高解像度ラインカメラを搭載し,道路・鉄道・トンネルの高精度な計測・解析を可能とした「三菱インフラモニタリングシステムⅡ(MMSD®Ⅱ)」による設備の計測・解析サービスを,2017(平成29)年11月6日(月)から開始している.
これは国土交通省が2014(平成26)年7月に,土木構造物・道路構造物に対しては5年に1回のトンネル・橋梁などの定期点検を,また,鉄道トンネルでは2年ごとの通常全般検査と20年ごとの特別全般検査を義務付けているなかで,点検作業は交通規制や夜間の長時間作業により,事業者にとって大きな負担となっている現状を軽減する目的で開発された.
システムは,計測車両にある自動焦点機能を搭載した8Kの高解像度ラインカメラとレーザ照明により,走行しながらトンネル全周の高精細画像を撮影でき,ボルト取り付け状態,漏水状況やひびなどの確認を,目視と同等の精度で実現している(時速50km以下で走行時).さらに,計測車両には鉄道線路の走行装置を装備し,道路・鉄道どちらにも適用可能であり,目視点検作業の負荷を軽減できる.
また,毎秒100万点の計測が可能な高密度レーザを2台搭載し,ミリ単位の精度で位置座標(緯度・経度・標高)を持つ毎秒200万点相当の高密度三次元点群データを収集するほか,設計図面や工事完成図が古い場合や存在しない場合でも,計測した三次元データから構造物の現状を正確に把握できる.さらに,同一場所の過去の計測データとの比較により経年変化を検出し,点検場所の絞り込みができ,構造物・設備の現状を正確に把握し,効率的な点検を実現した.
このほか,三菱電機独自の画像解析アルゴリズムにより,幅0.3mmのひびを自動検出(時速50km以下で走行時)でき,三次元データ解析結果とひび解析結果から,ひびに起因するうき・はく離などの変状を自動検出する.また,検出した結果を変状展開図に自動で反映し,これまで手作業で実施していた変状展開図作成・解析作業を自動化して作業時間を短縮している.
写真:三菱電機のニュースリリースから