西武鉄道は,2018(平成30)年度末に営業運転を開始する予定の新形特急車両について,基本デザインが決定したと発表した.
新形特急車両の開発においては,「いままでに見たことのない新しい車両」を実現するべく,世界で活躍する建築家・妹島和世氏監修のもと,西武社内で選抜されたプロジェクトチームメンバーを中心として取り組みが進められている.新形特急車両は,「都市や自然の中でやわらかく風景に溶け込む特急
」「みんながくつろげるリビングのような特急」「
新しい価値を創造し,ただの移動手段ではなく,目的地となる特急」の3つをデザインコンセプトとしている.
前面ガラスは,国内初となる大きな三次元の曲面ガラスを採用し,やわらかな印象の先頭デザインとする.先頭のやわらかな曲面が全体の編成へと自然に連続するように緩いカーブのある車体断面を採用する.車体カラーは,都市や自然の中でやわらかく風景に溶け込むデザインを実現するため,アルミ素材の車体に塗装仕様となる.その色合いにも,ひと工夫し「あたらしい風景」を作り出せる特色のあるカラーデザインとする.客室窓は,乗客一人ひとりがくつろげるリビングのような空間とするため,等間隔で連続していく配置.その大きさにもこだわり,心地よい居住空間を目指す.
客室は,大きな窓のある明るい白い壁のシンプルな室内に,あたたかな黄色配色を基調とした座席シートが並ぶ.シート・床面の絨毯・カーテンのテキスタイルは,統一感のあるデザイン.シートは,これまでの特急にはない身体をやさしくつつみ込むソファのようなデザインとする.天井は曲面とし,間接照明によるやわらかな光あふれる照明デザインで,荷棚にも補助灯を付加し,読書などにも適した照度を確保する.また,各車両のデッキも黄色配色を基調とし,一部の壁には曲面デザインを採用し,壁面に寄り掛かれる 余裕のある空間とする.
トイレは,乗客の動線を考慮し1号車・5号車に配置.1号車には多目的トイレ・男性用トイレ・洗面所,5号車には西武初となる女性専用トイレのほか,パウダールーム・共用トイレ・男性用トイレを配置する.各トイレは清潔で安心感のある黄色配色を基調とし,空間スペースも最大限確保できるよう配慮する.
新形特急車両は8連7本が導入予定で,具体的な営業運転開始日,運転経路についてはあらためて発表される.
写真:新形特急車両のデザインイメージ(西武鉄道のニュースリリースから)