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大井川鐵道からのお知らせ〜秘境駅・尾盛を訪ねてみませんか〜

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2008年9月5日掲載
大井川鐵道からのお知らせ〜秘境駅・尾盛を訪ねてみませんか〜

今回は秘境駅として一部の人たちに注目を浴びている大井川鐵道—井川線(愛称・南アルプスあぷとライン)の尾盛(おもり)駅を紹介します.
 尾盛駅は中部電力が1954(昭和29)年,井川まで路線延長させた際にできました.では,なぜ同駅ができたかというとまわりに井川ダムや井川線の建設作業員宿舎があったからです.最盛期は1955(昭和30)年ごろ,4つの建設会社で17軒から18軒の宿舎があり200人ぐらいが住んでいたようです.ただ,1957(昭和32)年の井川ダム完成と時を同じくして住む人はいなくなりました.また,同駅からは木材の積み出しも行なっていたのですが,林業関係者は住んでいませんでした.
 乗降客がほとんどない.このような駅は廃止されて当然です.しかし,廃止できない理由があるのです.古来より大井川上流部は豊かな森林資源の宝庫でした.この地域で切り出された木材は大井川の流れに乗せて島田方面に運んでいたのです(これを川狩りという).ところが,大井川本流にダムや発電所が建設されてしまうと川狩りそのものができなくなってしまいます.そこで木材の輸送は鉄道で行なう(つまり補償)こととしたのです.尾盛駅はダム建設作業員の居住地とともに木材の積み出し基地でもあったのです.しかし,現在,同地の林業は安い輸入木材に押されて衰退してしまい,同駅からの木材積み出しは行なわれていません.(最後の木材積み出しは1970(昭和45)年2月と言われています)ただ,補償に関する文言だけが残って廃止しようにも廃止できない駅になってしまったのです.
 現在,にわかに秘境駅ブームというのがあるそうです.何しろ秘境駅ファンには秘境駅の定義づけ(ただし,趣味者の主観で決められるので一概に定義があるとは言えないらしい)があるようで主だったところをあげると
1. 無人駅であること
2. 利用客が少ないこと
3. 駅周辺の人口が少ないこと
4. 列車本数が少ないこと
5. 列車以外の方法では行きにくいこととなるらしいのです.
以上の観点でいくと尾盛駅は理想的な秘境駅となります.
ぜひ,一度この秘境駅・尾盛にお越しください.

■尾盛駅データ
所在地 静岡県榛原郡川根本町犬間33-2
金谷起点57.3km地点,千頭起点17.8km地点 海抜526m.
開業日 1959(昭和34)年8月1日(大井川鐵道井川線としての開業日)
そのほか 2007(平成19)年度乗降客人員254名(1日平均0.7人)
※ 尾盛駅には鉄道でしか行けません.
※ 尾盛駅への道路はありません.
※ 尾盛駅は無人駅です.
■尾盛駅を訪ねる際の注意・参考事項
運賃 金谷—尾盛間:大人1名の片道運賃は2700円,小人1名の片道運賃は1350円です.
注意事項 ●尾盛駅にはトイレはありません.
●金谷—千頭間の大井川本線は1時間に1本程度の割合で普通電車がありますが,千頭—井川間の井川線となりますと,同区間を通して走る列車は4往復(観光シーズン時には5往復)と数少ないものとなります.お出かけの際にはお時間を十分にお調べの上,お出かけください.
参考 ●大井川鐵道井川線の歴史
中部電力の前身である富士電力が大井川や寸又川に発電所建設のため1934(昭和9)年2月,千頭—沢間間2.4kmを開通させたのが始まりです.その後,電力会社の再編により中部電力が昭和29年に井川までの25.5kmを開通させました.
 1959(昭和34)年8月1日,大井川鐵道は中部電力から井川線の運営を受託し,同日から大井川鐵道井川線がスタートしました.
 その後,途中の長島ダム建設にともない,川根市代(現在のアプトいちしろ)—川根長島(現在の接岨峡温泉)間が水没してしまうため,路線付替え工事を行ないました.結果,アプトいちしろ—長島ダム(1.5km)が急こう配となるため,1990(平成2)年10月2日,日本唯一のアプト式鉄道を採用,1999(平成11)年8月1日には愛称を「南アルプスあぷとライン」に決定して現在に至っています.
●アプト式鉄道とは
2本のレールの間にあるラックレール(歯車レール)とアプト式電気機関車の床下についているラックホイール(歯車)をかみ合わせながら急こう配を安全確実に運転する鉄道です.
ご案内 大井川鐵道株式会社