
▲図1:フレッチング摩耗の発生箇所
鉄道総合技術研究所(鉄道総研)は,鉄道車両の台車に用いられる車軸軸受の「「フレッチング摩耗」」を抑制する新たな対策手法を開発したと発表した.
車軸軸受は,車体の重量や走行中の揺れによる荷重を支える重要部品である一方,車軸端部に嵌合された内輪と後ぶたとの接触部において,微小な相対運動が繰り返されることで「フレッチング摩耗」が発生する場合があった(図1).この摩耗によって生じた鉄粉が内部の潤滑剤を劣化させることが,メンテナンスや車両の検査周期を延ばす上での大きな課題となっていた.
これまでも潤滑剤への摩耗粉の侵入を防ぐ対策が主流として講じられてきたが,部品点数の増加にともなうコストアップなどが課題として挙げられていた.
▲図2:開発した手法を適用した後ぶた
鉄道総研は「フレッチング摩耗」の発生機構を詳細に調査し,内輪と後ぶたの間の不均一な接触面圧を低減することが摩耗量抑制に極めて効果的であることを突き止めた.その結果,有限要素法を活用したシミュレーションにもとづき,現用品の後ぶたに円周方向の溝加工を施すというシンプルな手法を開発した(図2).これにより,大きな設計変更や部品点数を増やすことなく,効果を上げることが可能となった.
▲図3:開発した対策手法による効果
開発した手法を適用した後ぶたを内輪との接触面圧の実測した結果,接触面圧の最大値は現用品と比較して約50%低減した(図3左).さらに,在来線車両で多く用いられている車軸軸受に開発品を適用し,台上回転試験により120万km走行相当の耐久性を評価したところ,問題は発生せず,潤滑剤中の鉄粉量は走行距離が48万kmの現用品と比較しても約65%低減されることが確認された(図3右).加えて,実車両に適用した約55万kmの走行試験においても異常は認められず,実使用環境において十分な信頼性を有すると判断されている.
開発した手法については,今後,さまざまな形式の車軸軸受への適用可能性について検証を進め,実車両への適用を拡大していく方針である.この技術の普及により,鉄道車両のさらなる検査周期の延伸が可能となり,現場におけるメンテナンス作業の省人化に寄与することが期待されている.
画像はすべて鉄道総合技術研究所ニュースリリースから














