
▲図1:従来手法による例
上り線(上り側)方向のみの映像で構築した3次元千六空間を下り線(下り側)方向からみた図(イメージ)
公益財団法人鉄道総合技術研究所(鉄道総研)は,列車の運転台に設置したビデオカメラの撮影映像から,線路沿線の設備や周辺環境をパソコン(PC)上に3次元で再現できる「3次元線路空間の構築手法」を開発した.
鉄道沿線設備の維持管理や現地確認作業には多くの労力が発生しており,作業時の係員の安全確保も課題となっていた.点群データを取得して3次元線路空間を構築する従来手法もあるが,データ取得のために線路閉鎖などの手続きや作業が必要な場合があり,広範囲をタイムリーに把握することが困難であった.
従来のカメラ映像を用いた手法では,上下線のいずれか1方向の映像だけでは死角が発生し,上下線双方の映像を用いる場合は位置情報を合わせて統合することが技術的に困難であった(図1).
▲図2:ビデオカメラによる撮影例
今回開発された手法は,営業列車などの運転台に設置した市販のビデオカメラで上下線を撮影した映像を使用する(図2).
130km/hで走行中の撮影映像も使用可能で,PCに取り込んだ上下線の走行映像を,AIを活用した深層学習ベースの画像マッチング技術を用いて位置情報を統合することで,沿線設備を正面,側面,俯瞰の全方向から再現する(図3).
▲図3:上下線の映像を統合して構築した3次元線路空間例
この手法の導入により,現地に赴くことなく事務所などで勤務しながら設備の状態を把握することが可能となる.具体的な活用例として,信号器具箱などの沿線設備の外観や柱などの傾斜状況などの状態を少ない労力で高頻度に把握することや,工事計画などへの活用が挙げられる.
▲図4:特発の見通し検査システムによる検証試験結果例(同じ特発での見通し例)
また,鉄道総研がすでに開発しているAIを用いた特殊信号発光機(特発)の見通し検査システムに本手法を適用した検証試験では,見通し判定がNGとなる位置を距離誤差1%程度の精度で特定した(図4). 今後は,本手法の実装に向けて鉄道事業者と連携して検証を進めるとしている.あわせて,既存の見通し検査システムなどへの適用拡大を進め,鉄道事業における設備の維持管理の省力化を支援していくとしている.
画像はすべて公益財団法人鉄道総合技術研究所ニュースリリースから












