写真:大井川鐵道DD20形+スロフ300形+クハ600形 能登暁規撮影 川根両国にて 2016-5-21
大井川鐵道は,井川線の運行形態について,2026(令和8)年7月1日(水)から観光鉄道として再構築すると発表した.
今回の再構築は,路線の価値に見合った収益の仕組みへと転換し,井川線の体験価値を旅行商品として提供することで路線を安定的に支えることを目的としている.
井川線は,日本で唯一のアプト式区間を持つほか,「COOL JAPAN AWARD 2019」を受賞した奥大井湖上駅などの鉄道資産と景勝地を有する路線である.しかし,2022(令和4)年秋の台風15号の被災にともない大井川本線の一部不通が長期化するなど,経営環境が変化していることから,従来の運行形態では持続的な運営が困難な状況となっていた.
運行形態の見直しにあたり,2025(令和7)年10月からの関係自治体との協議を皮切りに,2026(令和8)年4月以降は沿線住民や観光事業者を対象とした説明会・意見交換会を延べ13回にわたり実施した.当初は6月1日(月)からの開始を予定していたが,住民からの意見を踏まえて受入体制の整備や観光事業者との協働プランの検討を進めるため,開始時期を7月1日(水)へ変更した.
また,井川線や大井川本線を地域の共有プラットフォームと位置づけ,沿線の観光事業者などとともに観光列車の魅力向上や地域経済の活性化を図る組織「大鐵サポーターズクラブ」を5月28日(木)に新設した.会費は無料であり,観光列車向け商品の共同開発や駅でのおもてなし企画,ダイヤやサービス改善に関する意見交換,地域資源の活用に関する協働などを予定している.
▲2026年7月1日以降の運転時刻
7月1日(水)からは,予約・決済システムの導入により「座席定員制(列車指定制)」へ移行する.これにより,確実に入座できる乗車環境を整備する.新たに導入される観光列車ダイヤでは,川根本町コミュニティバスとの接続を維持しつつ,アプトいちしろ駅で行なわれる機関車連結作業の見学時間を確保するなど,ダイヤの見直しを行なう.なお,次年度以降も,より良い運行体制となるよう継続して検討を重ねるとしている.
乗車料金は区間に関わらず一律でパッケージ販売され,大人3500円,小児1750円(ともに税込)となる.専用予約サイトで24時間受付を行ない,6月上旬ごろから予約受付を開始する予定.
写真:大井川鐵道 ED90 1号機 編集部撮影 川根市代車庫にて 1990-2-28(取材協力:大井川鐵道)
全線を観光鉄道化する一方で,沿線住民の移動手段の確保に向けた取組も行なう.寸又峡温泉や接岨峡温泉,アプトいちしろキャンプ場といった沿線主要宿泊地へのアクセスや住民の利便性を支えるため,下り最終列車(405列車/千頭14:35発 接岨峡温泉行き)と上り始発列車(402列車/接岨峡温泉10:45発 千頭行き)のについては,これまでどおり事前予約不要かつ普通運賃のみで利用できる一般車両(自由席)を連結し,各駅停車として運行する.
沿線住民を対象としたサービスとして,観光列車を含む全列車(トビー号や星空列車などを除く)が乗り降り自由となる「井川線沿線住民パス」を7月1日(水)から発行する.申込費用は1000円であり,購入方法や利用方法については,別途対象住民へ案内される.
詳しくは,大井川鐵道ニュースリリースに掲載されている.
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