
近畿日本鉄道とシャープは,画像処理技術を活用して鉄道車両の床下を自動で検査する「車両床下検査システム」の実証実験を共同で開始すると発表した.
両社は2020(令和2)年秋から共同研究を重ねており,近鉄が持つ検査業務のノウハウと,シャープがテレビやスマートフォン開発で培った画像解析・処理技術を融合させて本システムの開発を進めてきた.深刻化する労働力不足などを背景に,鉄道の安全運行に欠かせない検査業務の精度維持・向上と,現場の負荷軽減・省力化の両立を目的としている.
実証実験は,奈良県奈良市にある近鉄の西大寺車庫にシステムを設置して行なわれる.検査線の入り口に車輪検知センサ,カメラ,照明装置を配置し,車両が進入した際に床下機器を自動で撮影する.車両に搭載されたIDタグの情報と画像を紐づけ,独自の技術で処理・解析する仕組みである.
自動で検出・リストアップを行なうおもな検査項目として,ブレーキ部品の残りの厚みを計測して交換の必要性を判定する「制輪子残厚計測」がある.さらに,各床下機器が正常な位置にあるかをチェックする「機器検出」や,機器自体の変形をはじめ機器箱やコックハンドルの向きが正しいかなどを確認する「機器変形検出」の自動化も図る.これらの動作や精度の検証を通じ,実際の検査業務における効率化への有効性を確認する.
本実証実験は,2026(令和8)年5月26日(火)から当分の間実施される.検証内容は,各検査機能における基本的な精度の検証にとどまらず,気候や日照の変動,車両状態の変化をともなう実環境下での精度検証や,実際の現場に即したシステムの運用方法を検証する.
両社は今回の実証実験で得られた知見を踏まえ,本システムの早期実用化に取り組むとしている.将来的には,人とシステムが連携した検査の効率化だけでなく,トラブルを未然に防ぐ予兆保全への活用も目指す.
写真:「車両床下検査システム」の設置状況(シャープ提供)












