鉄道ファン2026年5月号(通巻781号)
『鉄道ファン』2026年5月号
2026年3月21日発売
定価1300円(税込)

JR東日本,線路メンテナンス用分析プラットフォーム「Viz-Rail」の新機能「HARIBOU」を実装
〜モニタリングデータによりレール張り出し現象の予兆を把握〜

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JR東日本,線路メンテナンス用分析プラットフォーム「Viz-Rail」の新機能「HARIBOU」を実装

▲線路設備モニタリング装置

JR東日本は,線路メンテナンス用分析プラットフォーム「Viz-Rail」の新機能として,夏季の高温時に発生するレールの大きなゆがみ(張り出し現象)の予兆を自動検知する「HARIBOU(張防)」を実装したと発表した.

 JR東日本グループは,経営ビジョン「勇翔2034」で掲げる「安全を最優先とした輸送基盤の強化」の実現に向け,設備故障の未然防止を目的とした検査・点検のレベルアップを進めている.これにともない,従来の定期点検中心の方式(TBM:時間基準保全)から,設備の状態データにもとづき劣化の兆候を検知して対処する「CBM(状態基準保全)」への転換を進めている.
 今回実装された「HARIBOU」は,社内開発チーム「DICE」と保線技術者が連携して開発した機能で,線路設備モニタリング装置を導入している線区(JR東日本管内全体の約70%)を対象に,最大300日分のレールのゆがみデータを毎日自動で分析し,レール張り出し現象の予兆をタイムリーに抽出する.

JR東日本,線路メンテナンス用分析プラットフォーム「Viz-Rail」の新機能「HARIBOU」を実装

▲高温時のレール張り出し現象(1978年5月 東北本線 栗橋—古河間)

 従来の手法では,年4回の検測車「East-i」によるデータや過去の事例にもとづき,人が都度点検箇所を抽出した上で,高温時に保線技術者が目視で現地確認を行なっていたが,この方法では予兆箇所をタイムリーに把握することが困難であった.
 新機能の導入後は,変動幅の一覧や地図,時系列データを一元的に表示するダッシュボードの活用が可能となり,保線技術者は現地調査の優先度を定量的かつ漏れなく判断できるようになる.これにより,無駄の少ない的確な現地調査と効果的な予防保全が実現し,輸送サービスの安全レベルがさらに向上するとしている.

JR東日本,線路メンテナンス用分析プラットフォーム「Viz-Rail」の新機能「HARIBOU」を実装

▲HARIBOU 判断順序(①一覧確認 ②地点確認 ③現在の変動幅の確認 ④300日間の変化を確認)

 今後は,「Viz-Rail」を主軸として線路設備全般の状態判定への展開を進める.さらにAIなどを活用し,工事計画の調整からリソースの最適配分までを一貫してシステムが自動で行なう「データドリブン管理」の体制構築を目指す.
 将来的には本取組みでつちかったノウハウをほかの鉄道事業者にも展開し,業界全体の線路メンテナンスの高度化に貢献するとしている.

画像はすべてJR東日本提供

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