鉄道ファン2026年5月号(通巻781号)
『鉄道ファン』2026年5月号
2026年3月21日発売
定価1300円(税込)

JR貨物,2026年度事業計画を発表

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JR貨物 EF210形300番台

写真:EF210形300番代  松本洋一撮影  2020-2-20 (取材協力:JR貨物)

JR貨物は,投資額286億円とする,2026年度の事業計画を発表した.

 輸送力の強化に向けては,2026(令和8)年3月のダイヤ改正において,カーボンニュートラルの対応などへの期待に応えるため,旺盛な需要が見込まれる複数の地帯間で列車増発による増強を行なった.このほか,大形コンテナの取扱い拡大を引き続き進める.

JR貨物,2026年度事業計画を発表

▲忌避音吹鳴装置を搭載した車両

 物価高騰などのコスト上昇により収支構造改革が喫緊の課題となっていることや,労働力需給にも留意する必要があることから,運転士ならびに輸送機材の効率的な運用を追求する.東海道線・山陽線の主力機としてEF210形300番代の導入を継続し,老朽車両の取替を計画的に進める.日本海縦貫線での輸送障害時に備え,EH500形の上越線への定期運用拡大や,う回運転計画の策定を行ない,異常時の対応力を強化する.
 鳥獣・倒木などの被害への取組として,忌避音吹鳴装置搭載車両の運用区間拡大や,自治体や第一種鉄道事業者との連携強化を図る.

JR貨物,2026年度事業計画を発表

▲開発中の液体水素タンクコンテナ

 次世代に向けた技術開発として,将来を見据えた次世代コンテナ車の開発・検証を進めるほか,交直流電気機関車への交流回生ブレーキの適用,省エネを推進する設備投資を実施する.鉄道による水素サプライチェーン構築を目指し,専用コンテナの開発にともなう技術的・法的課題の整理や実証実験に継続して参画する.

JR貨物,2026年度事業計画を発表

▲31ftコンテナ輸送

 コンテナ輸送の拡大については,10tトラックと同等の内容量を持つ31ftコンテナを戦略的に活用する.利用運送事業者などとの連携によるラウンドマッチングを深度化させるほか,改良を行なう熊谷貨物ターミナル駅などでの利用誘致を進める.
 高いニーズがある定温コンテナ輸送についても,中食・冷凍食品や医薬品分野での提案営業を強化し,片道輸送の解消に向けたマッチングを実施する.自動運転トラックとの連携を見据え,株式会社T2と共同でスワップボディコンテナを用いた輸送の実証実験を行なう.

JR貨物,2026年度事業計画を発表

▲整備が進む新南陽駅

 物流結節点としての機能を向上させるため,仙台貨物ターミナル駅や沼津駅の移転工事を確実に推進する.災害などへの備えとして,山陽線不通時の代行拠点となる新南陽駅の整備を引き続き進め,コンテナホームの拡張や代行トラック用駐車場の整備により,迅速な代行輸送体制を構築する.

JR貨物,2026年度事業計画を発表

▲地上設備の自動診断に向けた走行試験

 駅業務の効率化と生産性向上に向けては「スマート貨物ターミナル」の実現を目指す.具体的には,ドライバーシステム(DS)とトラックドライバー用アプリ(T-DAP)の機能を統合した情報プラットフォーム『Smart-PLAT』を構築する.
 あわせて,セミオート・ガイダンス機能付フォークリフトの検証や,画像検査によるコンテナ積付検査の省力化,入換機関車の遠隔操作化に向けた検討,カメラなどを使用した地上設備の自動診断の検討など,先端技術の積極的な導入を図る.
 海外事業については,鉄道事業の新たな柱としての成長を目指し,タイ王国を重点地域として活動を進める.タイやその周辺国で高まる鉄道輸送への関心を背景に,同社が鉄道輸送者と顧客の仲介役を担う「鉄道プラットフォーマー」事業の実施や,周辺物流機能での事業展開について検討を深度化させる.政府機関やJICAの調査を通じた海外からの研修・視察対応も継続し,国際的な貢献と事業機会の創出を図る.

JR貨物,2026年度事業計画を発表

▲Jークレジットを活用したモーダルシフトの促進(イメージ)

 経営面では,コンテナ輸送量183億トンキロ,積載率76.5%を数値目標(KGI/KPI)として設定した.原価の高騰を受け,持続可能なサービスを維持するための基本運賃改定や,鉄道付帯サービスの見直しを検討する.
 不動産事業においては,マルチテナント型物流施設「レールゲート」の拡大や資産回転型ビジネスの進展により収益力を高める.2050年カーボンニュートラルの実現に向け,J-クレジット制度を活用したモーダルシフトの促進や,線区別排出原単位の精緻化による情報提供サービスを強化していく.
 詳しくは,JR貨物のページ(2026年度 事業計画2026年度 事業計画(概要))に掲載されている.

一部画像はJR貨物 2026年度 事業計画(概要)から

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