鉄道ファン2026年1月号(通巻777号)
『鉄道ファン』2026年1月号
2025年11月20日発売
特別定価1400円(税込)

JR四国,新形ハイブリッド式ローカル車両「3600系」量産先行車が完成

JR四国,新形ハイブリッド式ローカル車両「3600系」量産先行車が完成

JR四国は,老朽化したローカル気動車(ディーゼルカー)の置換え用として製作を進めてきたハイブリッド式ローカル車両「3600系」について,量産先行車が完成したと発表した.

JR四国,新形ハイブリッド式ローカル車両「3600系」量産先行車が完成

 量産先行車は2両1編成×2本(4両)で,徳島運転所に配置される.エンジンで発電した電力と,ブレーキ時などに蓄電池に貯めた電力を組み合わせてモータを回転させて走行する駆動システムを採用し,最高運転速度は100km/h.
 駅停車時のアイドリングストップにより燃費を向上させ,二酸化炭素削減を図る.蓄電池に貯めた電力をモータや駅停車時のサービス機器に使用することで,環境負荷を低減する.また,複雑な構造の機械部品や回転部品がなくなることで,安全性・信頼性が向上している.
 駅停車時のアイドリングストップによる静粛性向上や,気動車特有のギアチェンジがなくなることで乗り心地を向上させる.さらに,電車と同じシステムと機器を使用することで,メンテナンス時の作業やコスト低減を図る.

JR四国,新形ハイブリッド式ローカル車両「3600系」量産先行車が完成

 エクステリアデザインは,ステンレスボディに四国の海や空をイメージしたライトブルーを配色している.縁取るゴールドのラインと側面のストライプは,空から海や川面に降りそそぐ光を表現し,四国の豊かな自然や澄んだ空気・水を象徴している.
 なお,量産先行車は,「SHIKOKU Hybrid Vehicle 3600」の表記ときらめきの雫をあしらった特別仕様となる.

JR四国,新形ハイブリッド式ローカル車両「3600系」量産先行車が完成

 インテリアデザインは,床面は温もりを感じる木目調,壁面は明るく清潔感のある布目地に,アクセントのグレーブラウンを組み合わせ,ナチュラルな温もりと機能美を調和させている.座席の袖壁には曲線を取り入れ,外観のカーブラインと呼応させることで統一感を持たせている.
 腰掛モケットは,一般席には四国の海や空をイメージしたブルーを基調とし,優先席には色弱者にも認識しやすいグリーンを採用し四国の山々をイメージした配色としている.室内座席レイアウトはロングシートを基本とするが,トイレを設置していないMc2車の一部にクロスシートを採用している.

JR四国,新形ハイブリッド式ローカル車両「3600系」量産先行車が完成

 客室設備では,JR四国では初となる電気式戸閉装置を採用し,ドア挟み時の自動開機能により安全性の向上を図っている.客室内には液晶式の情報表示器を設置し,室内照明にはLED照明を採用して消費電力の削減とメンテナンスの軽減を図る.
 バリアフリー整備ガイドラインに対応し,車いすスペースおよび車いす対応トイレを設置している.利用者への安全対策として,車内やトイレに非常通報装置(SOSボタン)と,客室用防犯カメラが設置される.
 量産先行車は,2026(令和8)年1月から性能確認などの走行試験を行ない,同年6月の営業運転開始を目指して教育・訓練などを実施する予定.営業運転開始時期が決まり次第,別途発表される.なお,量産車は2027(令和9)年度から順次導入を予定しており,量産先行車を含めて合計35編成(70両)を製作する計画である.

画像はすべてJR四国ニュースリリースから

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