鉄道ファン2026年1月号(通巻777号)
『鉄道ファン』2026年1月号
2025年11月20日発売
特別定価1400円(税込)

京王電鉄,民鉄初となる超硬合金チップ切削式レール削正車「ROMILL600 DT」を導入

京王電鉄,民鉄初となる超硬合金チップ切削式レール削正車「ROMILL600 DT」を導入

▲レール削正車

京王電鉄は,超硬合金チップを備えた切削装置(ミリング式)によるレール削正車を民鉄として初めて導入すると発表した.

 導入される車両は「ROMILL600 DT」(2両1編成)で,「ミリング式削正ユニット搭載車(ROMILL Work)」と,「ミリングチップ交換作業室を備えた付随車(ROMILL Supply)」で構成され,双方の車両に動力を持たせることで,一方の車両がエンジントラブルを起こした場合でも走行できる.車体製造をローベル社(ドイツ),ミリング装置製造をシュベアバウ・インターナショナル社(ドイツ),設計・デザインをプラッサー&トイラー社(オーストリア)が担当した.
 デザインは,京王のコーポレートカラーである「京王ブルー」と「京王レッド」を基調としたオリジナルデザインが採用された.これまで工事用作業車の塗装はアイボリーをメインとしてきたが,新技術を活用し,かっこよくスマートな保線業務への変革を目指すとともに,最大の使命である安全を確保するイメージをもつデザインとされている.

京王電鉄,民鉄初となる超硬合金チップ切削式レール削正車「ROMILL600 DT」を導入

▲車両構成イメージ

 これまでのレール削正は砥石で削る方式を採用していたが,広範囲にわたって削正をすることが困難であったため,傷の状態や列車の累積通過重量に応じて適宜レール交換を実施しており,夜間作業の増加やレール交換頻度の多さが課題となっていた.
 新形のミリング式レール削正車は,レール破断の要因となる傷の除去と発生を抑制し,走行時の安全性を向上させる.また,レール頭頂面の凹凸を除去し,レール頭部形状を新品形状に近づけるよう整えることで,騒音や振動を減らす効果が期待され,列車の乗り心地が向上する.さらに,車両台車への負荷が軽減され安全性が向上するとともに,車両の長寿命化にも寄与する.これにより,レール交換頻度が抑制され交換量が3割以上削減されるため,多大な労力を要するレール交換工事を減らすことができ,保線作業の省力化にもつながる.

京王電鉄,民鉄初となる超硬合金チップ切削式レール削正車「ROMILL600 DT」を導入

▲新たなレール削正

 新形のレール削正方式は,縦方向に回転する超硬合金チップを備えたミリング装置でレール頭頂面を切削した後,仕上げとして砥石を回転させながら削正(研削)して断面を整える.

京王電鉄,民鉄初となる超硬合金チップ切削式レール削正車「ROMILL600 DT」を導入

▲リサイクルのイメージ

 レール切削により発生した切りくずは,車両に付属したコンテナへ直接回収してリサイクルされるため,資源の有効活用にも寄与する.ミリング装置による削正は,作業方向へ1回の走行で特定の箇所を削正するため,一晩で広範囲にわたる削正が可能である.
 本車両は,2026(令和8)年1月から京王線全線で試験運用を開始する予定.

画像はすべて京王電鉄提供

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