写真:東京地下鉄18000系 編集部撮影 鷺沼車両管理所にて 2021-6-2(取材協力:東京地下鉄)
東京地下鉄(東京メトロ)は,メトロ車両・ホンダトレーディング・日本総合リサイクル・日軽金アクト・住江工業との共同研究により,国内の地下鉄車両として初めて「アルミニウム水平リサイクル」を実現し,廃車となった車両のアルミ素材を,品質を落とすことなく新造車両の内装部品として再生利用することに成功したと発表した.

▲水平リサイクルの取組イメージ
取組では,廃車となった半蔵門線8000系の車体を解体し,そこから回収したアルミニウムを半蔵門線の新形車両18000系の内装部品として循環利用している.
具体的には,解体時にアルミ合金の種類ごとに厳密に選別・回収を実施したあと,不純物を取り除いて溶解し,再び同等の品質を持つ部材として再生させる.これらは,18000系18119編成において,座席の背板や車端部の妻パネルの側面板として実際に使用されている.
▲水平リサイクルの取組に関する研究体制
一般的に,鉄道車両のアルミスクラップは,鉄やステンレス,樹脂などの除去や合金ごとの分別が難しく,もとの品質を維持する「水平リサイクル」は困難とされてきた.そのため,これまでは成分管理が比較的容易な鋳造材などへ品質を下げて再利用する「カスケードリサイクル」が主流であった.
参加各社が連携して精緻な解体・分別方法を確立したことで,水平リサイクルが可能となった.この取組により,新地金(新しい金属)を製造する場合と比較して,約8トンの二酸化炭素排出量が削減された.
▲水平リサイクル材を適用した車両へ掲出するPRステッカー
今後は,今回の研究で得た知見を活かし,リサイクル材の適用範囲拡大を目指す.将来的には,より高度な品質管理が求められる車体構体への循環利用の実現に向け,共同研究を進める.
なお,今回リサイクル材を使用した車両には,リサイクルのプロセスを図案化したPRステッカーが掲出され,乗客への周知も図られる.
一部画像は東京メトロ提供












