鉄道ファン2026年1月号(通巻777号)
『鉄道ファン』2026年1月号
2025年11月20日発売
特別定価1400円(税込)

小田急,新形ロマンスカー「80000形」の概要を発表
〜車両開発コンセプトは「きらめき走れ、ロマンスカー」〜

小田急,新形ロマンスカー「80000形」の概要を発表

▲「80000形」先頭車イメージ

小田急電鉄は,2029(令和11)年3月就役予定の新形ロマンスカーについて,車両形式を「80000形」に決定したと発表した.

 80000形はボギー車の7両編成で,箱根登山線へ乗入れ可能な車両仕様とする.次の100年においても自然と共存共生できる高い環境性能やメンテナンスの省力化が実現できる機器を搭載する.
 車両開発コンセプトの「きらめき走れ、ロマンスカー」には,陽に照らされ水面がきらりときらめくように,乗るたびに人々の心を動かす瞬間「きらめき」を生み出し,「きらめき」を波紋のように,世代を超え多くの人々に広げていけるような存在を目指したいという思いを込められている.
 これは,小田急グループの事業エリアが,多摩川をはじめとした多くの河川,富士山を望む箱根の芦ノ湖,江の島を含む海岸曲線を描く相模湾など,「水」と関連した風景に恵まれていることや,「水」が沿線に潤いをもたらし,緑あふれる住みやすい環境を生み,地域に活気をもたらしてきたと考え,新形ロマンスカーも同様に,人・地域・自然をつなぐ存在であるべく「水」をテーマに開発を進める.

小田急,新形ロマンスカー「80000形」の概要を発表

▲「水」をテーマに開発を進めていく「80000形」

 50000形「VSE」の後継として位置付ける80000形には,ロマンスカーの代名詞ともいえる展望席を設ける.この展望席と,その上に位置する運転席を雫のような大形の曲面ガラスで一体的に包みこむ.
 車体カラーは,水の清らかさを感じさせ,シーンによって見え方・感じ方が変わる「淡い水色」を基調に,車両連結部には「バーミリオンオレンジ」を施すことで伝統を継承する.車体側面(窓下など)には,水面の波紋を想起させる「ゆらぎ」を設け,瑞々しさと柔らかさを表現する.
 このほか,用途や気分により選択ができる複数の座席種別の設定や,沿線の自然豊かな風景を美しく切り取る大形窓を採用する.
 今後は,開発コンセプト策定に携わったCOA一級建築士事務所のほか,鉄道・非鉄道部門を社内で横断して,将来にわたる顧客ニーズを追求しながら,沿線の自然豊かな風景との調和や,多様な利用シーンに応える上質な乗車体験の実現を目指した詳細設計に着手するとともに,車両製造に向けた社内手続きも順次進める.製造は,日本車輌製造が担当する.

画像はすべて小田急電鉄提供

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