
JR東海は,新形車両「HC35形」を導入すると発表した.
これは,快速“みえ”や高山本線・太多線などの普通列車で使用されているキハ75形が,製造から約30年が経ち,更新時期を迎えることから,HC85系や315系で培った技術を活用し,ハイブリッド方式の新形車両を新製するもの.なお,JR東海の在来線普通車両へのハイブリッド方式の車両投入は初めてとなる.

HC35形は,2028(令和10)年度から2029(令和11)年度にかけて,2両編成×19本(合計38両)を導入する.運用区間は,名古屋—伊勢市・鳥羽間の快速“みえ”などのほか,高山本線(岐阜—下呂間),太多線(美濃太田—多治見間)となる.
エクステリアは,315系のデザインでも採用されている親近感のある前方端部に,丸みを持たせた柔らかな形状とする.長く親しまれているコーポレートカラーのオレンジを配色しつつも,斜めに立ち上がるオレンジの帯により,快速“みえ”の速達性を表現する.

写真:JR東海キハ75形 編集部撮影 名古屋車両区にて 1993-6-22(取材協力:JR東海)
ハイブリッド方式の採用により,推進軸などの気動車特有の回転部品を不要とするほか,すでに使用実績のある重要溶接部の少ない台車構造を採用し,安全性を向上させる.これにより,キハ75形と比較して約35%の燃費向上が実現するほか,燃費向上などにより,CO2を約30%,NOXを約40%削減するなど排出ガスを減少させる.
状態監視システムにより,車両機器の稼働状態や故障状況などを遠隔で常時監視し,安全性・信頼性の向上を図る.車内防犯カメラを設置し,セキュリティを向上させる.
線区・列車の特徴にあわせて,おもに快速“みえ”で運用する車両は転換クロスシートとロングシートを1両ずつ,高山本線・太多線で運用する車両は2両ともロングシートの配置とする.
全編成に車椅子対応トイレを1箇所,各車両に車椅子スペースを設置し,バリアフリー設備を充実させる.冷房能力を約16%向上させ,315系と同様にAIによる混雑状況などに応じた温度補正を自動で行ない,より快適な車内環境を実現する.
一部画像は,JR東海ニュースリリースから