京福電気鉄道(嵐電)は,新形車両の「KYOTRAM(きょうとらむ)」について,2025(令和7)年春から営業運転を開始すると発表した.
形式名は「モボ1形」で,2024(令和6)年度に1両,2025(令和7)年度から2028(令和10)年度にかけて6両,計7両を導入する.
車体デザインは,一世紀以上にわたって京都の市街地を走る路面電車のシンボルとして,先頭部に伝統的なラウンドフォルムを採用,ボディの色は嵐電の象徴である京紫とする.これにコントラストを効かせたホワイトとブラック・グレーの配色とシルバーの腰帯を組み合わせることで,「まち」の風景に馴染みつつも,日常に華やかな彩りを与える.
車体にはホーム検知装置や光電センサ,車両側面監視カメラを搭載し,乗降時の安全性向上を図る.正面行先表示器に大形LED表示器,側出入口横の小形固定窓にガラス一体形LCD案内表示器を採用し,行先表示などの視認性を向上,多言語表記など旅客案内を充実させる.
座席は座面幅460mmのバケットシートとし,優先座席を各端部に計8席配置する.小形の仕切板一体形スタンションポール(縦方向手すり)は座席側に湾曲させることで通路幅を広くする.
出入口ドアは両引戸とし,現行車両の側引戸と比較して出入口幅を100mm拡大している.出入口付近のスペースも拡大,車椅子・ベビーカースペースと簡易テーブルを設置する.
室内照明は暖色LEDで,さらに側天井面を照らす間接照明を採用し,落ち着いた空間を提供する.車窓からの眺めをより楽しめるよう,側窓を大形固定窓化し,空調装置にはナノイーX発生装置を搭載する.
VVVFインバータ制御と回生ブレーキを導入することで,1両当たりの消費電力量は,現行の約半分となる見込みとしている.
「KYOTRAM」の営業運転開始日は,2025(令和7)年1月下旬に発表される.
「KYOTRAM」デビューにあわせて,「KYOTRAM」ロゴマークと同じ世界観で制作された新たな嵐電ロゴマークも制定した.「KYOTRAM」の車体や,今後,嵐電の施設,パンフレットなどに使用される.
新たな嵐電ロゴマークは,「嵐」と「電」のふたつの漢字の成り立ちに遡り,一つの象徴的な図形に融合,少ない要素に昇華させ生み出したもので,歴史の深みと親しみ感のあるモダンな印象を兼ね備えた嵐電の新しいシンボルとする.要素を凝縮する際,京都らしい「碁盤の目の街並み」や「源氏香に用いられる象徴的な記号性」,嵐山の竹林を連想させる「竹の網代文様」のエッセンスを加えている.
※「ナノイー」は,パナソニック ホールディングス株式会社の商標です.
画像はすべて京福電気鉄道提供