小田急電鉄は,画像解析AI技術を活用した列車出発時の安全確認に関する実証実験を,2024(令和6)年8月21日(水)から2025(令和7)年2月ごろまでの間,新百合ヶ丘駅5番ホームで行なうと発表した.
現行の列車出発時においては,駅係員と乗務員が協力して迅速かつ綿密に安全確認を実施することで,事故防止に努めている.一方で将来の働き手不足を見据えると,持続可能な鉄道運行体制を早期に確立するために,列車出発時の確認にもデジタル技術の活用が有効であるとし,2023(令和5)年度に株式会社サイバーコアと共同で,アルゴリズム「Universal Anomaly Detection(汎用異常検知)」を開発した.
これは,列車出発時における「ホーム端の黄色い点字ブロックと列車の間に人がいる場合」と,「閉扉後に傘などが挟まっている場合」を自動検知して知らせるもので,今回の実証実験では,実際の駅環境でこのアルゴリズムの有効性を検証する.
実証駅は,1日10万人以上の利用がある駅から選定し,ホームに専用カメラを設置する.混雑度合いや,天候,時間帯により明るさが異なるなど,刻々と変化する環境のなか,検証データを蓄積しながら,検知漏れや誤検知情報をAIに学習させることで,精度を高めて実用化を目指す.
小田急電鉄では,これまでもAIをはじめとした先端技術の導入による安全性の向上に努めており,経堂駅と祖師ヶ谷大蔵駅では,駅構内カメラ映像を用いてホームからの転落を検知するシステムを運用するほか,踏切監視カメラ映像を用いた踏切異常状態検知に関する実証実験にも取り組んでいる.国内の生産年齢人口は減少しているが,小田急線の運行に従事する係員が2035(令和17)年度に2020年度と比較して30%減少したとしても,安全・安心な運行を継続できる体制を構築していくとしている.
一部画像は小田急電鉄提供