阪急電鉄と阪神電気鉄道は,脱炭素社会の実現に向けた取組として,2025(令和7)年4月1日(火)から,両社の鉄道路線全線(約193km)の列車運行と駅施設などで使用するすべての鉄道用電力を実質的に再生可能エネルギー由来の電力(再エネ電力)に置き換え,実質的に二酸化炭素排出量をゼロとすると発表した.
鉄道事業で使用するすべての鉄道用電力を実質的に再エネ電力100%とするのは,関西の鉄道会社では初めてとなる.
実質的に二酸化炭素排出量ゼロで運行する仕組みは,関西電力が提供する非化石証書(再生可能エネルギー由来)の持つ環境価値を付加した二酸化炭素フリーの電気料金メニューである「再エネECOプラン」を活用するほか,阪急電鉄の摂津市駅と西宮北口駅,阪神電気鉄道の大石駅と大物駅,杭瀬駅に設置している太陽光発電設備で発電する電力を活用する.
阪急・阪神全線で使用する電力による二酸化炭素排出量は,阪急阪神ホールディングスグループの二酸化炭素排出量の約4割を占めており,今回の取組により削減できる二酸化炭素排出量は年間約20万トンで,一般家庭の年間二酸化炭素排出量に換算すると約7.9万世帯分,また杉の木の年間二酸化炭素吸収量に換算すると約2300万本分に相当する.
阪急阪神ホールディングスグループでは,サステナビリティ宣言において「環境保全の推進」を重要テーマのひとつとして定め,地域とともに発展してきた企業グループとして,脱炭素社会の実現に向け,両社の事業活動のみならず,まち全体の環境負荷の低減を目指した取組を進めている.
特に鉄道は,乗客ひとりあたりの輸送エネルギーが自動車と比べて低く,都市部に路線を持つ両社では自動車と比較すると「約1/10」と極めて効率が高いことから,鉄道を核とした公共交通ネットワークを構築することで脱炭素社会に向けたまちづくりに貢献できるとし,公共交通ネットワークの拡充を通じた環境負荷の低減に取り組んでいる.
両社ではこれまで,省エネルギー性能の高い車両への更新や駅などへの太陽光パネルの設置,車両ブレーキ使用時に発生する余剰回生電力を有効活用する駅舎補助電源装置の導入などの省エネ・創エネの取組を通じて,鉄道事業で使用する電力量を約10年で16%削減するとともに,鉄道事業にともなう年間二酸化炭素排出量を約20万トンまで抑制してきた.
さらに,阪急・阪神全線でカーボンニュートラル運行を実施することで,脱炭素社会の実現に大きく貢献できるものとしている.同路線では,毎日のべ約228万人(輸送人員の1日平均)が利用するため,乗客に再生可能エネルギーを身近に感じてもらうことで,脱炭素化への機運醸成や再生可能エネルギーの活用の後押しにも貢献していきたいとしている.
一部画像は阪急電鉄提供