東急電鉄は,8500系8637編成を4両編成化し,動態保存車とすることを発表した.
この動態保存は,8500系の引退を残念がる声が寄せられたことや,8500系が東急電鉄で最後の直流モータ車であり職員への技術伝承に活用できること,多客時やイベント時の運行にも活用できることから決定したもの.
動態保存となる対象の編成は,8500系の中で最後まで活躍した8637編成で,8500系のシンボルでもある両先頭車の正面と車両側面の帯は,8637編成のオリジナルである青帯と,8500系の多くで採用された東急電鉄のコーポレートカラーである赤帯とする.
運転区間は,大井町線(大井町—溝の口間),田園都市線(二子玉川—長津田間),こどもの国線で,運転開始時期は2024(令和6)年秋ごろを予定している.
8500系は,新玉川線(渋谷—二子玉川園間,現在の田園都市線の一部)と営団地下鉄(現:東京メトロ)半蔵門線の相互直通運転開始にともなう乗入れ車両として,当時すでに使用されていた8000系をベースとして1975(昭和50)年にデビューした.
当初は4両編成で,輸送力増強のため増備が続き最終的に10両編成化され,東急電鉄で最多である400両(10両編成×40編成)が製造された.1976(昭和51)年には東急電鉄の車両としては唯一となる「鉄道友の会ローレル賞」を受賞している.
田園都市線だけでなく,東横線や大井町線でも使用され,東急線沿線の多くの利用客の足として長らく活躍したが,後継車両である5000系,2020系の導入が進んだことから,2023(令和5)年1月25日(水)をもって引退した.
画像はいずれも東急電鉄提供(車両写真はイメージです).