三菱重工業は,中国マカオ特別行政区(Macau Special Administrative Region)政府・公共建設局(DSOP)から,マカオLRT(Light Rapid Transit)の「East Line」向け全自動無人運転車両(AGT:Automated Guideway Transit)システム一式を受注したと発表した.同社は信号,通信システム,給電設備,軌道工事,ホームドア,料金機械といった,駅舎の建設や土木工事を除くAGTシステム一式を担当する.
この延伸線は,2019(令和元)年12月に開業したタイパ線(11駅,9.3km)を起点に,マカオ半島東側沖合の新興エリア(埋立地)を地下トンネルで接続し,1日平均約30万人が往来する中国とのボーダーゲートである洪北(Gongbei)付近までの全長7.65kmに6駅を設置する計画となっている.East Lineの開通により,中国との往来を含めた利用者のさらなる増加や,住宅・商業施設が建設される新興エリアの交通利便性の向上,交通渋滞の緩和などが見込まれる.
旅客向けには,タイパ線とBarra延伸線(1駅追設,3.2km,2023年12月開業)に納入済みの車両を活用するほか,リチウムイオン式蓄電機器を車載した火災時の消防士緊急出動用車両(BAV:Backup Access Vehicle)も納入される予定.従来のディーゼル形に代えて電動BAVを導入することで,地下トンネル区間が大半を占めるEast Lineの安全性確保と環境負荷を軽減する.
マカオLRT向けプロジェクト受注は,タイパ線,Barra延伸線,現在建設中の石排湾延伸線(2駅+乗換駅追設,1.6km)と横琴延伸線(2駅追設,2.2km)に続く5路線目で,これまでの工事実績と,安全かつ安定的な運行が高く評価された.
今回も,石排湾延伸線,横琴延伸線の新設プロジェクトに続き,地元ゼネコンである「Top Builders Macau Co. Ltd.」と「Hou Chun Construction and Engineering Company Limited.」との間で3社コンソーシアムを組んで協働し,本プロジェクトを通じて,マカオ地域のさらなる経済発展と人材育成を行なう.
画像はいずれも三菱重工提供