京浜急行電鉄と京成電鉄は,日立製作所の「移動制約者ご案内業務支援サービス」を,それぞれの鉄道路線で導入すると発表した.駅係員の研修期間を経て,2024(令和6)年3月1日(金)から各自社内で本サービスを実際に運用し,相互乗入れ先同士でのサービス運用の対応可否について検証を進める.
本サービスでは,経路(列車番号)や乗車位置,車いすの場合はその種類(手動・電動)などの情報を乗車駅側がスマートデバイスに入力することで,降車駅側にプッシュ通知で連絡が入る.従来は電話による口頭伝達に頼っていた一連の連絡業務をスマートデバイス上で完結することができるため,スムーズに乗降駅間の連携が可能となる.
また,従来の列車乗降サポートの業務フローに沿った機能が提供されているため,現場目線でも使いやすく,駅係員の作業時間が短縮されることで,鉄道利用者のより円滑かつ安全安心な移動を実現する.
これまで,車いすや白杖などの利用者が列車を乗降する際,乗降駅係員の習熟した連携作業によって安全・利便性が保たれてきた.一連の案内業務は,乗車駅から電話連絡を受け,降車駅の係員が紙の連絡票に詳細を記録し,記録内容を参照しながらホーム上で対象の利用客を迎える流れとなるため,より一層円滑化された駅間コミュニケーションの確保や限られた人員でのサービス品質向上が必要となっていた.
一方で,2022(令和4)年には駅の無人化にともなうガイドラインも制定されており,従来のアナログ作業の最小化や,駅係員業務のさらなる効率化や係員の業務負荷軽減が課題となっていた.
両社では同様の課題を抱えていたことから,その課題解決のために日立の「移動制約者ご案内業務支援サービス」を同時に導入することを決定し,サービス仕様を極力統一化させることで導入コストの低減を図る.
今後は,各自社線内での本サービスの運用を進め,利用客の意見や実際に案内対応にあたる駅係員の声を収集し,日立と連携してさらなる利便性向上を図る.あわせて,収集した情報をもとに,将来的に両社間をまたいで乗降する利用者にも広げることを視野に入れ,両社の相互乗入れ先同士でのさらなるサービス品質向上を目指す.日立は,本サービスのバージョンアップなどを通してオプション機能を継続的に展開する.
画像はすべて日立製作所提供