三菱重工業は,アジア地域拠点であるシンガポールのMitsubishi Heavy Industries Asia Pacific Pte. Ltd.(MHI-AP)と共同で,シンガポール北東部を走る全自動無人運転車両システム(AGT:Automated Guideway Transit)「センカン・プンゴルLRT」向けの2両連結車両8編成(16両相当)を,シンガポール陸上交通庁(LTA:Land Transport Authority)から新たに受注したと発表した.
これは,2022(令和4)年1月に受注した同LRTの輸送力増強プロジェクト工事の一環で追加受注したもの.新車両も,センカン・プンゴル地区の景観になじむ外観デザインを生かしつつ,運行事業者のニーズに応えO&M(Operation and Maintenance:運用・保守)の効率性を向上した仕様としている.
三菱重工業グループは同プロジェクトにおいて,2022(令和4)年に車両17編成(34両相当)の供給と既存車両基地の大形拡張にともなう信号,軌道,車両保守機器といったシステム一式の更新工事を受注している.2003(平成15)年の同LRT開業に当たって納入した車両とシステム一式は,その高い信頼性が評価されており,以降20年にわたり三菱重工業グループがシステムの改造,車両基地の拡張,各種アフターサービスを一貫して手掛けている.なおLRTは元来「Light Rail Transit(次世代型路面電車)」の略称として広く使用されているが,センカン・プンゴルLRTは,その高速性能にちなんで「Light Rapid Transit」を略称としている.
同LRTは,地下鉄北東線の2駅(センカン駅・プンゴル駅)と住宅街を結ぶ路線長23.3kmの支線で,近年の同地区人口増加にともなう利用者増に対応するため,既存線の輸送能力増強が進められている.三菱重工業グループは,アジア地域における交通サービス事業のハブとしてMHI-AP内に「テクニカルサービスセンター」を有し,同地区における交通システム製品の運行・保守とアフターサービス体制を構築しており,運行事業者からの問い合わせや依頼にタイムリーに応えるワンストップサービスで高い評価を受けている.
写真:三菱重工業提供