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JR東日本,AIを活用した信号設備復旧支援システムを開発
〜2022年度内に山手線などの在来線の首都圏線区へ導入へ〜

JR東日本E235系

写真:JR東日本E235系  編集部撮影  東京総合車両センターにて  2015-3-28(取材協力:JR東日本)

JR東日本は,自然災害や設備故障にともなう輸送障害の発生時に,AI(人工知能)を活用して設備の状態確認を実施すべき箇所や原因の絞り込みを行なう復旧支援システムを日本で初めて開発したと発表した.

JR東日本,AIを活用した信号設備復旧支援システムを開発

▲現状の輸送障害発生の復旧方法のイメージ

 鉄道の信号設備は,線路沿線に設置された多くの機器を組み合わせたシステムとなっており,自然災害や設備故障にともなう輸送障害が発生した場合は,早期に運転再開を図るために,技術者のノウハウをもとに,マニュアルに定められた手順に従って各装置の状態を確認しながら確実に原因を絞り込み,復旧作業を進めている.輸送障害の発生原因によっては,係員が多くの箇所のデータを測定する必要のあるケースもあり,この場合,原因の特定に時間がかかり運転再開まで時間を要することもある.

JR東日本,AIを活用した信号設備復旧支援システムを開発

▲AIを活用した復旧支援システム

 導入されるシステムは,障害の発生状況の時系列を入力することで,AIにより,過去のデータベースの中から類似する事例を抽出し,障害の原因や復旧方法の提案を行なう.これまでの復旧方法と比較して,AIの提案による調査箇所や原因の絞り込みが可能となるため,調査時間の短縮を図ることができる.また技術者が経験を積むことが難しい発生頻度の低い事象についても,AIにより障害の原因や復旧方法の提案ができる特徴があるため,長時間の輸送障害削減が期待できるとしている.
 このシステムを活用してシミュレーションを実施したところ,復旧に約2時間要した事象に対して,1時間程度まで復旧時間の短縮ができる結果が得られるなど,約50%程度の復旧時間削減を見込んでいる.

JR東日本,AIを活用した信号設備復旧支援システムを開発

▲復旧支援システムのイメージ

 今回開発した復旧支援システムは,2022(令和4)年度内に山手線などの在来線の首都圏線区に導入される予定.今後は,システムの導入エリアの拡大と,引き続きデジタル技術の活用について検討を進め,輸送安定性のさらなる向上を目指すとしている.
 このほか,輸送障害が発生した際に係員が早期に復旧するため,係員のスキル向上としてMR(Mixed Reality)技術を使用したゴーグルによる復旧手順の習得訓練や現地映像を活用した遠隔復旧支援など,輸送安定性の向上に向けた取組を進めていく.ゴーグルは,工事完成時の検査において現地確認を実施する場合に使用し,業務変革にも活用されており,現在,電気関係職場に100台配備されている.

一部画像はJR東日本ニュースリリースから

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