鉄道ファン2024年5月号(通巻757号)
『鉄道ファン』2024年5月号
2024年3月21日発売
定価1250円(税込)
鉄道ファン2024年5月号
2024年3月21日発売
定価1250円(税込)
鉄道ファン2024年5月号(通巻757号)
特集 短絡線ミステリー2024
目次を見る
アンケートdeプレゼント

JR東海,最新技術を活用して経営体力の再強化へ

JR東海 315系

写真:JR東海315系  編集部撮影  神領車両区にて  2021-12-3(取材協力:JR東海)

JR東海 N700S量産車

写真:JR東海N700S量産車  目黒義浩撮影  小田原—熱海間にて  2020-10-25

JR東海は,経営体力の再強化を目的に,最新技術を活用した各種施策を発表した.

 近年,センシング,画像認識,ビッグデータの伝送・解析,AI,ロボットなどの技術が大きく進化していることから,これらの技術を積極的に取り入れ,輸送サービスの在り方を抜本的に変革することで,将来の労働力人口の減少にも対応する.あわせて,より安全・便利・快適なサービスを効率的に提供することを目指し,JR東海が目指す鉄道の将来像とそのおもな施策について取りまとめた.

JR東海,経営体力の再強化のための最新技術を活用した各種施策を発表

 東海道新幹線では,全駅に可動柵を整備し,ホーム上の安全度を高める.あわせて半自動運転(STO:GoA2)機能を導入し,運転士の業務を支援する.運転士は運転操縦の支援拡充により,駅発着時のホーム上の安全確認・ドアの開閉を行なうとともに,異常時においては列車の責任者として車掌やパーサーなどを統轄して対処する.車掌は,列車内で旅に不慣れな乗客などのサポート業務に注力し,巡回強化により車内セキュリティの向上を図る.

JR東海,経営体力の再強化のための最新技術を活用した各種施策を発表

 在来線では,3両以上の一部編成で車両の側面にカメラを設置する.運転士が各車両などに設置したカメラの画像で確認するほか,ドアの挟み事故や転落などを検知する画像認識技術活用の検討を進める.また,上記のような安全度を高める方策を検討しつつ,3両以上の編成にもワンマン運転を導入する.

JR東海,経営体力の再強化のための最新技術を活用した各種施策を発表

 安全面では,手や目視による検査を状態監視や画像認識を活用した診断などへ転換し,検査・修繕結果の入力などのシステム化を進め,信頼性・効率性を高める.車両,線路設備,電気設備などの状態を取得したデータにより常に監視し,故障前に修繕を行なうことで車両・設備を健全な状態に保ち,故障・列車遅 延などの発生も減らす.社員はデータ分析を通じた検証などを通じ,検査・修繕の質をさらに改善する.

JR東海,経営体力の再強化のための最新技術を活用した各種施策を発表

 利便性の向上として,新幹線・在来線ともにチケットレス化を進める.駅で事前にきっぷを購入することなく,JR東海の全線を利用できるよう,TOICA利用エリアを全線に拡大する.指定席の予約や定期券の購入についても,スマートフォンなどで,随時購入できるサービスを整備する.在来線特急では駅の窓口に立ち寄ることなく,チケットレスで乗車可能にする.
 駅では,乗客とのコミュニケーション手段の充実を目的に,「サポートつき指定席券売機」や「集中旅客サービスシステム」など,遠隔でのご案内サービスを拡充し,きっぷ購入時のサポートを充実させる.早朝・深夜時間帯などでも,きっぷが購入可能となる駅を拡大することで,駅係員の配置は,利用実態にあわせて適正化する.

JR東海,経営体力の再強化のための最新技術を活用した各種施策を発表

 新幹線とホテルや旅先での交通手段,観光プランなどの旅行全体をシームレスに予約・決済できる「EX-MaaS(仮称)」を,2023(令和5)年秋の提供開始を目標に準備をすすめる.「EX-MaaS(仮称)」では,新幹線とホテルや観光プランなどを自由に組み合わせることができるほか,国内で初めて乗車直前まで列車変更ができるお得なパッケージ形商品「EX ダイナミックパッケージ(仮称)」も同時期に提供を開始する.

JR東海,経営体力の再強化のための最新技術を活用した各種施策を発表

 多様なニーズに応じた高付加価値サービスの提供として,新幹線の移動時間をより快適に過ごせるようなグリーン車の上級クラス座席や,ビジネス環境を一層高めた座席の設定などを検討する.現在サービスを展開している駅ワークスペース「EXPRESS WORK」や車内「ビジネスブース」のように,乗車前後を通じシームレスに仕事ができる環境をさらに充実させる.また団体旅行客向けに,新幹線車両を貸し切り,オリジナルの車内装飾や車内放送モニタなどの機材の貸出しなどにより,車内でオリジナルイベントなどを実施できる新たなサービスを提供する.
 JR東海では,これらの施策を順次取り組むことで,将来にわたって在来線・東海道新幹線・中央新幹線の三世代の鉄道を一体的に発展させ,「日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献する」という同社の使命を力強く果たしていくとしている.なお記載の施策については,今後,その具体的な内容を決定し,発表される.

一部画像はJR東海ニュースリリースから

このページを
シェアする