JR西日本は,持続的にバリアフリー設備の整備と更新を進めるため,「鉄道駅バリアフリー料金制度」を活用した料金設定と整備計画を定め,国土交通省近畿運輸局に提出したと発表した.
JR西日本では,2021(令和3)年度末時点でホーム柵が32駅89番線に設置されているほか,段差解消設備については1日あたりの乗降3000人以上の駅などの一定条件を満たした400駅のうち,386駅で整備済または整備に着手している.
京阪神地区における今後のバリアフリー設備整備については,2032(令和14)年度までに,整備対象エリア(図1)の全駅(211駅・603番線)を対象として,可動式または昇降式ホーム柵やホーム安全スクリーンを整備することとし,利用者の多い駅などではホーム柵を整備する.
また整備対象エリアでは2022(令和4)年度末までを目標として,15駅42番線を対象にホーム柵を整備する.その後,2027(令和9)年度までを目標として,25駅78番線を対象にホーム柵を,84駅245番線を対象にホーム安全スクリーンの整備をそれぞれ完了する.
これにより,ホーム柵やホーム安全スクリーンが整備された駅の利用者の割合を,2025(令和7)年度に5割,2027(令和9)年度に7割となることを目指す.
今回の届出は,今後の利用の回復や世界的な半導体不足などの取り巻く環境の変化を考慮し,2027(令和9)年度までとしているが,2028(令和10)年度以降も制度を活用した整備を引き続き進める予定としている.
また,2033(令和15)年度以降は,ホーム安全スクリーンを順次,ホーム柵に置き換えることを基本とし,ホーム安全スクリーンの効果を検証しつつ,ホーム安全対策の方針を検討する.
現行運賃への加算額については,整備対象エリア内を利用する場合を対象に,大人旅客運賃では10円,通勤定期旅客運賃では1ヵ月300円・3ヵ月900円,6ヵ月1800円とし,バリアフリー設備の整備費に充てる.なお,通学定期旅客運賃は対象外とし,小児旅客運賃は,鉄道駅バリアフリー料金加算後の大人旅客運賃の半額とする(新幹線利用の場合を含む).
料金制度の活用は,先行して2022(令和4)年度から整備を進めるエリア(図1の①の範囲)において,2023(令和5)年4月1日(土)から開始を予定している.また,2025(令和7)年春を目途に,整備と料金収受の対象エリア拡大(図1の②の範囲)を計画している.拡大にあたっては,整備対象エリアの運賃体系の共通化も課題であり,今後,検討を進める.
一部画像はJR西日本ニュースリリースから