東武鉄道では,2023(令和5)年に導入するN100系について,インテリアとシートバリエーションを決定したと発表した.
シートバリエーションは,現行の100系「スペーシア」を継承しながらも,より上質な空間となった個室など,乗客それぞれの旅行スタイルにあうものを選択できるよう全6種類とする.車内はモダンデザインをベースとした落ち着きのある配色で,ゆったりとした移動空間を提供する.
浅草方に位置する6号車は,現行の100系「スペーシア」と同様,コンパートメントルームとなる.車両先頭部には展望が楽しめる特別な「コックピットスイート」を配置し,本列車の中で最上級のシートで,前方・側面の窓からの展望を広く見渡しながら,贅沢な旅のひと時を楽しめる.広さは私鉄特急最大の11㎡で,車両幅まで広げた空間にソファーを配置し,最大7名まで利用できる.
デザインは,プライベートジェットをイメージした「走るスイートルーム」をコンセプトとし,モダンでありながら温もりを感じられる寛ぎの空間を提供する.飾り照明は,日光東照宮の陽明門の柱に刻まれた「グリ紋」を想起させるデザインとして,車内から日光らしさを演出する.
「コックピットスイート」後方には「コンパートメント」を4室配置する.4名がゆとりをもってさまざまな座り方ができるコの字形ソファーと可変テーブルを採用し,乗客の構成や目的,気分にあわせてテーブルのレイアウトを変更できる.
東武日光方に位置する1号車は,『時を超えるラウンジ』をコンセプトとした「コックピットラウンジ」となる.現存する日本最古のリゾートホテルとして2023(令和5)年に150周年を迎える日光金谷ホテルや,かつて各国の外交官たちが避暑を楽しんだ日光に残る大使館別荘をモチーフに,気品高く落ち着きのある空間を提供する.
コックピットスイートと同様に展望が楽しめるほか,五感で日光を感じ,旅への期待感や余韻を醸成するカフェカウンターも併設される.4名・2名・1名掛けの各種ソファーを計20席配置することで,さまざまなグループ形態にあわせることが可能で,旅行プランや旅の思い出話に会話が弾むカフェラウンジのような空間となる.
2号車は,従来の特急車両よりも広い2+1列配置の「プレミアムシート」で,シートピッチも「スペーシア」より広い120cmとなる.東武で初めての電動リクライニングやバックシェル構造により快適性・プライベート性を向上させるほか,大形インアームテーブルや読書灯を搭載し,観光・ビジネス利用ともにワンランク上の環境を提供する.
3号車から5号車の「スタンダードシート」は,シートピッチを「スペーシア」と同じ110cmとしてゆとりをもたせ,観光やビジネス利用のいずれにも対応する.
5号車車端部には「ボックスシート」4席を設置.向かい合う2席による半個室でプライベート性を高めるとともに,シートの横幅を約80cmとしてゆとりある座席とする.
N100系は6両固定編成で,24両(4編成)を導入する.コンセプトは「Connect & Updatable~その人、その時と、つながり続けるスペーシア~」とし,鉄道の物理的なつながりに留まらず,さまざまな情報やサービスを更新し提供することで,車両に乗り込んだ瞬間から,乗客が「自分だけの最適な日光・鬼怒川エリア」とつながることができ,幾度も同エリアを訪れたくなる特急車両を目指す.
エクステリアデザインは,現行「スペーシア」のフォルムを現代に進化させたものとする.カラーリングは日光東照宮陽明門・唐門・御本社に塗られた「胡粉(ごふん)」の白を彷彿とさせる高貴な白をイメージし,窓枠は鹿沼に伝わる組子や,竹編み細工などの江戸の手仕事を思わせる工芸品のような佇まいで,大切なものを包み込むイメージとする.
製造は日立製作所が担当し,料金や運行概要などは,改めて発表される予定.
画像はいずれも東武鉄道ニュースリリースから