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近鉄,鉄軌道旅客運賃の改定を申請

近畿日本鉄道80000系「ひのとり」

▲写真:近畿日本鉄道80000系「ひのとり」  編集部撮影  高安検車区青山町車庫にて  2020-2-3(取材協力:近畿日本鉄道)

近畿日本鉄道は,国土交通大臣に対し,2023(令和5)年4月1日(土)を実施予定日として,鉄軌道旅客運賃の改定を申請したと発表した.

 改定率は平均17.0%で,普通旅客運賃(定期外)については,日常的な利用の多い短距離区間(10kmまで)の改定率を12.5%〜15.4%に抑えることで,負担の軽減を図る.改定後おもな区間の普通運賃(大人)は,1km〜3kmが180円(現行160円),101km〜110kmが1740円(現行1470円),最大の241km〜250kmでは3690円(現行3110円)などとなる.定期運賃の改定率については,通勤定期を18.3%,通学定期を9.2%とし,通学定期券は負担の軽減を図るため,改定率を通勤定期の約半分に抑える.上記により平均で15.0%の増収率を見込んでいる.なお,吉野線・湯の山線・鳥羽線・志摩線・けいはんな線における加算運賃や特急料金(特別車両料金・個室料金含む),鋼索線運賃については改定しない.
 今回の改定については,沿線の少子高齢化などにより利用客が減少する中,消費税率引き上げにともなう運賃改定を除き,1995(平成7)年9月以来,約27年の間,運賃を据え置いてきたが,新型コロナウイルス感染症の流行により鉄道の利用がさらに大きく減少し,厳しい事業環境であることや,会議や買い物のオンライン化などの「新しい生活様式」がすでに定着しつつあり,現状の経営努力をもってしても,これらによる収入減少を補うことは困難な状況であるとしている.
 一方,健全な鉄道運営を維持するためには,車両・設備の更新,バリアフリー整備,防災対策などをこれからも継続的に行ない,安全性・利便性を確保していく必要があるとし,2023(令和5)年度から2025(令和7)年度までの3年間で,約860億円の設備投資を計画している.設備の健全性維持,安全対策などを引き続き強化していくほか,老朽化した一般車両の更新に加え,車内防犯対策の強化や激甚化する自然災害への対策,可動式ホーム柵設置などのバリアフリー整備,駅のリニューアルなど快適な利用環境のさらなる整備,将来へ向けた技術開発などを進める.

近鉄,鉄軌道旅客運賃の改定を申請

▲製造から60年を迎えつつある一般車両(写真:百々貴俊)

 上記のうち,老朽化した一般車両の更新については,新造から55年を超えた高経年の車両から更新を進める.昭和40年代に製造された車両の約450両については,2024(令和6)年度以降,利用状況を見極めたうえで,必要分を順次新形車両に置き換える.あわせて車内の防犯対策を強化するため,全車両への車内防犯カメラの整備を進めるほか,通話機能を備えた車内通報装置の設置を拡大する.
 またバリアフリー整備については,2023(令和5)年度中に,多岐にわたる車種に対応した可動式ホーム柵を導入し,利用者10万人以上の駅から順次整備を進める(2023年度〜2025年度で計5番線分を整備予定).さらに,ホームの嵩上げ工事と新形車両の低床化により,ホームと車両の段差を縮小する.
 このほか,国が定める2021(令和3)年度から2025(令和7)年度までの整備目標を達成するよう,一般車両においては1車両に1ヵ所の車いすスペースと車内案内表示器などの整備を進める.エレベータやスロープによる段差解消,駅多機能トイレの整備などは,引き続き国や関係自治体の協力を得ながら進める.
 詳しくは,近畿日本鉄道ニュースリリースに掲載されている.

写真はすべてイメージです.

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