JR東海は,2022(令和4)年度の重点施策を発表した.
2022(令和4)年度は新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい経営状況から脱却するため,それぞれの取組により収益の拡大を図るものとし,設備投資額は連結で6830億円,単体では6600億円を計画している.
鉄道事業においては,災害対策をはじめとした安全対策を着実に進めるとともに,東海道新幹線では「N700S」を13編成投入し,既存の「N700A」については「N700S」の一部機能を追加する改造工事を進める.また,「のぞみ12本ダイヤ」を活用し,需要にあわせた弾力的な列車設定を行なう.「EXサービス」については,さらなる利用拡大を図るため,2023(令和5)年夏の「EX-MaaS(仮称)」のサービス開始に向けた準備を進める.
ホーム上の可動柵については,引き続き東海道新幹線の新大阪駅20番線での設置工事を進め,新大阪駅の全新幹線ホームでの設置を完了する.車椅子利用者に向けて,車椅子スペースを1編成あたり6席設置した「N700S」の投入と,車椅子対応座席の「EXサービス」(エクスプレス予約・スマートEX)での予約の試行を行なう.
在来線では,新形通勤形車両315系56両を追加投入する.“しなの”・“ひだ”などの特急列車は,需要にあわせ弾力的に増発や増結を行なうほか,新形特急車両HC85系の営業運転を開始する.HC85系は,2022(令和4)年度に58両を投入する.
設備関連では,東海道本線刈谷駅のホーム拡幅と可動柵の設置などに向けた工事や,武豊線半田駅付近の連続立体交差化に向け高架橋の工事を進める.名古屋駅では,東海道本線下り線ホームへの可動柵の設置工事を進め,QRコードを利用したホーム可動柵開閉システムの導入に向けた準備を行なう.このほか,駅におけるエレベータや多機能トイレの設置を国や関係自治体とともに進める.また,駅のバリアフリー設備の整備促進に向けた新たな料金制度について,具体的な方法の検討を進める.
技術開発などについては,状態監視技術などを活用した検査や保守の高度化・省力化,設備の維持更新におけるコストダウンにつながる技術開発や,地震や豪雨などの各種災害に対して,より安全性を高めるための技術開発を行なう.
超電導リニアによる中央新幹線計画については,引き続き,測量・設計・用地取得や土木を中心とした各種工事を進める.このうち,都市部のトンネルについては,シールドマシンによる本格的な掘進を開始する.
山梨リニア実験線では,高温超電導磁石の営業線への投入に向けた走行試験と小牧研究施設での検証を実施する.営業車両の仕様策定を進め,設計を深度化するとともに保守体系の確立に向けた開発・実証などを進める.また,さらなる超電導リニア技術のブラッシュアップや営業線の建設・運営・保守について,より一層のコストダウンに取り組む.
このほか,高速鉄道システムの海外展開については,米国における高速鉄道プロジェクトや台湾での高速鉄道の技術コンサルティングを継続的に実施する.関連事業については,開業5周年を迎えるJRセントラルタワーズとJRゲートタワー事業を軸に,店舗の品揃え強化やサービス向上,「東京一番街」などの駅商業施設リニューアルやJR東海グループ保有地の有効活用を継続する.
詳しくは,JR東海ニュースリリースに掲載されている.
写真はいずれもイメージです.