東芝インフラシステムズは,JR東海の新形車両である315系向けに,国内で初めてとなるAI(人工知能)による自動学習・制御最適化機能を備えた制御指令伝送装置,Hybrid-SiC(シリコンカーバイド)素子を適用した車両制御装置をはじめ,主電動機,空調装置(インバータ式),主幹制御器などの電気品を納入したと発表した.
制御指令伝送装置は,地上サーバへ送信された全車両の温度・湿度・乗車率などのデータをもとに,サーバ内のAIが乗務員による空調手動補正などを自動学習した結果をフィードバックすることで,最適化した制御を行なう.
車両制御装置は,主電動機を駆動するVVVFインバータ装置と,空調などのサービス機器および制御機器に電源を供給する補助電源装置で構成されているが,インバータ装置の素子として,従来のSi(シリコン)に代わりHybrid-SiCを用いることなどにより,211系と比較して電力消費量を約35%低減している.
空調装置は,これまでの211系と比較して,冷房能力を約3割向上しつつ,インバータ方式の採用とコンプレッサに永久磁石同期電動機を採用することで,東芝インフラシステムの既設空調装置に比べて省エネ性も両立している.
東芝インフラシステムは,2020(令和2)年に315系352両分の電気品を受注し,56両(7編成)分の納入が完了した.今後,2025(令和7)年までに順次納入を行なう.また,東芝インフラシステムのグループ会社が製造したリチウムイオン二次電池「SCiB™」を使用する非常走行用蓄電装置を,2022(令和4)年度から納入する.非常走行用蓄電装置の搭載後は,停電時などに最寄り駅までの走行が可能となるほか,上記の空調装置を非常時の補機負荷として稼働させる場合,インバータによる低消費電力の動作モードにより,電力を有効に活用することが可能となる.
一部の写真は東芝インフラシステムズ提供