東武鉄道では,走行中の車両の乗車率・車内温度・運転速度・消費電力・機器状態などの車上データを,ダイヤの最適化,省エネ運転の推進,状態基準保全(CBM)などに有効活用するシステム「Remote」の本格運用を,2021(令和3)年度から開始すると発表した.
東武では1997(平成9)年に導入された30000系3編成に車上データ監視装置を初搭載し,おもに車両の保守作業に活用してきたが,データをそのつど車両から取得しなければならないという課題があった.
2016(平成28)年には東武野田線用の60000系1編成に,走行中の列車からリアルタイムで送信可能な車上データ監視装置が試験導入されて以降,詳細なデータの取得・蓄積・分析をすることが可能となったことから,2020(令和2)年からは70000系(70000形・70090形)8編成に搭載された.
2021(令和3)年は,70000系(70000形・70090形)全24編成に搭載を拡大するとともに,さらなる活用を目指して,本システムを「Remote」(Remote monitoring of train to use effectively)と名付け,本格運用を開始する.
集約した車上データを使用することで,時間帯ごとの乗車率を分析し需要に応じた細やかな運行計画をたてられるようになるほか,蓄積された運転パターンデータ群の分析に基づいて運転方法を変更することにより消費電力を抑制する省エネルギー化を行なうことができる.車両機器の状態データを常時把握・分析することで設備の劣化を予測し,必要なタイミングでメンテナンスする状態基準保全(CBM:Condition Based Maintenance)にも活用し,定期点検作業の一部が遠隔で可能となることから,安全性の向上や保守作業の効率化を図る.また,運転中の車両故障発生時には,乗務員と指令員・検修作業員間の情報共有が,現在よりも迅速かつ正確に行なえるため,支障時間の短縮にもつながるとしている.
一部画像は,東武鉄道のニュースリリースから