JR東海は,2021(令和3)年度から2025(令和7)年度にかけて導入する予定の在来線電車315系について,外観デザインを発表した.
デザインは「先進性×親近感」を表現し,長く親しまれているホワイトとコーポレートカラーのオレンジを調和させた配色とし,直線を使用した幾何学的な前面形状とLEDの前照灯を配置する.
車内には,防犯カメラを1両につき5ヵ所設置し,セキュリティの向上を図るほか,階段位置や駅設備,運行情報などを車内のフルカラー液晶ディスプレイに表示し,乗客に対しての案内充実を図る.全車両に車椅子スペース,全編成に車椅子対応トイレを設置するなど,バリアフリー設備を設置する.
主要機器(ATS-PT,モータを駆動する電力変換装置)は2重系化などを施し,信頼性を向上させる.あわせて,車両と地上との間のデータ通信装置を導入し,メンテナンスに活用するほか,台車などの振動状態を常時監視する振動検知装置を取り付け,異常の発生の抑制や迅速な検知を行なう.
台車には,試験走行中である次期特急車両HC85系と同じ台車構造を採用し,乗り心地の向上を図る.モータを駆動する電力変換装置には,SiC素子を導入するなどの省エネルギー化を図り,211系と比較して消費電力量を約35%低減する.室内灯にはLEDを採用する.また,JR東海の在来線車両で初めて非常走行用蓄電装置を搭載することで,停電時などに最寄り駅まで走行できるようにする.
315系は,2021(令和3)年度から2025(令和7)年度にかけて352両を新製し,名古屋・静岡都市圏を中心に,中央本線,東海道本線,関西本線などに順次投入する予定.JR東海発足前に製作した車両(211系8両)も置き換えられ,同社が保有するすべての車両が民営化後に新製された車両となる.
提供(協力)JR東海