住友商事と総合車両製作所は,フィリピン共和国運輸省(以下:DOTr)からマニラ首都圏地下鉄事業フェーズ1(北部ケソン市—南部パラニャケ市)の車両納入パッケージCP107(マニラ地下鉄向け鉄道車両240両納入プロジェクト)を受注し,契約を締結したと発表した.本プロジェクトは,2019(令和元)年7月に同じく住友商事・総合車両製作所で受注した南北通勤鉄道向け鉄道車両納入案件(104両)に続く受注となる.
マニラ首都圏では,急速な経済成長により人口増加が続き,人口集中による交通渋滞や大気汚染が年々深刻化しているとし,効率的かつ経済的な公共交通網の整備が喫緊の課題となっている.未発達なインフラを整備するため,フィリピン政府は「Build Build Build(ビルド・ビルド・ビルド)」と称する大規模なインフラ整備計画を推進しており,その中でマニラ首都圏地下鉄事業は,中核事業として位置付けられている.
本プロジェクトは,国際協力機構とフィリピンとの間の有償資金協力にもとづき結ばれた日本の政府開発援助事業で,フィリピンで初となる地下鉄(全17駅,うち地下区間13駅,約36km)向けに鉄道車両240両(8両・30編成)を設計・製造し,DOTrに納入する.契約金額は約575億円で,2027(令和9)年3月までに全車両を引き渡す予定.
住友商事は,これまでにアジア,米国を中心に数多くの鉄道建設案件,車両輸出案件を手がけており,とくにマニラ首都圏では,複数の既存路線(LRT1号線,LRT2号線,MRT3号線)で受注・履行実績がある.現在もMRT3号線のリハビリ・メンテナンス契約や,南北通勤鉄道向けの車両納入契約を履行しており,2020(令和2)年5月にはLRT1号線の運営事業に参画している.また,フィリピンにおける交通インフラ事業での豊富な経験を生かし,本プロジェクトを進める.
J-TRECは,通勤車両で国内トップシェア(2019年度実績)を誇る鉄道車両メーカーで,新幹線・特急車両・ハイブリッド車両など,多岐に渡る製品を設計・製造してきた.近年では,次世代ステンレス車両ブランド「sustina」を積極展開しており,東南アジア市場では,2016(平成28)年にタイ・バンコクの「パープルライン」向け車両を納入し,現在はフィリピン・マニラ南北通勤鉄道向け車両の納入契約を履行中である.
画像はいずれも住友商事提供