阪急電鉄は,神戸本線の王子公園—神戸三宮間にある「神戸市内線高架橋」が,「土木学会選奨土木遺産」に認定されたと発表した.なお,阪急電鉄で「土木学会選奨土木遺産」に認定されるのは,2000(平成12)年度に認定された「阪急大宮駅と大宮・西院間の地下線路」に続き,2例目となる.
神戸本線は,1920(大正9)年7月に梅田—上筒井間で営業を開始し,16年後の1936(昭和11)年4月に高架線により神戸三宮への乗入れを開始した.
認定された「神戸市内線高架橋」は,神戸三宮乗入れ時に建造されたもので,日本初の鉄筋コンクリート造りの高架橋である東京—万世橋間高架橋の設計を担当した建築家・阿部美樹志氏が手掛けている.
この高架橋のうち,3ヵ所のアーチ橋部分(原田拱橋・灘駅前拱橋・灘拱橋)は,幹線道路との交差部において優美な景観とするために採用され,道路と斜交しているため,ねじれて見えるのが特徴で,迫石(せりいし)を模した装飾を施すなど,細部に行き届いた配慮が施されている.
そのほかのラーメン高架橋についても,高架下の利用に配慮しつつ,隅角(ぐうかく)部に円曲線を取り入れるなど,洗練された設計であり,スタイリッシュな中にクラシックなデザインを備えた同高架橋は,戦争や水害,阪神淡路大震災など試練を乗り越え,完成から80年以上にわたり,神戸の街の風景のひとつとして多くの人に親しまれている.
写真はいずれも阪急電鉄のニュースリリースから