東芝インフラシステムズは,バングラデシュのダッカ都市高速鉄道(以下:MRT)6号線向けとして,回生電力貯蔵装置(Traction Energy Storage System/以下:TESS)をインドの大手EPC(Engineering,Procurement,Construction)事業者であるラーセン&トゥブロ社(Larsen & Toubro Limited)から8セット(2MW×7,500kW×1)受注し,2020(令和2)年後半から順次納入すると発表した.
TESSは,列車がブレーキをかけた際に発生する回生電力を蓄電池に充電し,列車が加速するための電力として再利用することで,従来使用されていなかった回生電力を有効活用することができる鉄道向けの地上設備である.また,停電により列車が駅間やトンネル内に停止した場合の非常走行用電源や,変電所の代替であるバッテリーポストとしての活用など,多様な用途がある.なお,蓄電池には,東芝インフラシステムズが開発した長寿命のリチウムイオン二次電池「SCiB™」が採用されている.
東芝インフラシステムズはこれまでに,国内在来線,地下鉄,モノレール,路面電車向けに多くのTESSの納入実績があるが,本件は初めての海外向け案件となり,SCiB™の持つ長寿命性や安全性,さらにはその性能を最大限引き出す制御方式としてTESSが評価されたとしている.
バングラデシュの首都ダッカは,経済成長を背景に人口が1500万人以上にまで増加し,慢性的な交通渋滞と大気汚染が深刻化している.MRT6号線は,こうした課題を解決するバングラデシュ初の都市鉄道のひとつとして,ダッカ市内を全線高架で南北につなぎ,全長約20km・16駅で構成する路線として建設される予定.
写真・画像はすべて東芝インフラシステムズ提供