これは，複数の携帯電話事業者向けに提供する5G基地局の地下空間での2021年度中の実用化を目指すもので，5G基地局シェアリングの実証実験を鉄道トンネル内で実施するのは日本で初めてとなる．5Gは，超高速・大容量・低遅延の通信を実現する次世代通信技術であり，モビリティ分野や医療分野など，さまざまな産業での活用が期待されているが，周波数の特性上，4Gと比較してより多くの基地局の設置が必要となる．現在は関東などにおいて，地上での基地局整備が先行しているが，将来的に全国で5Gサービスが展開されるためには，そのほかの地域や地下へも着実に基地局を整備する必要があるとしている．

　実証実験においては，なんば—心斎橋間の鉄道トンネルと駅構内などに5G基地局を設置し，複数の携帯電話事業者向けに基地局シェアリングを行なう．高低差などによって電波が遮断されやすい鉄道トンネルにおいて，基地局間の接続性を検証するほか，車内や駅構内の映像を5Gでリアルタイムに伝送し，防犯や混雑状況の把握に活用することが可能か検証する．なお，大阪市高速電気軌道は基地局の設置場所の提供や，ラック・電源・光ファイバー回線といった基地局の土台となるネットワークの構築などを，住友商事は5G共用アンテナシステムなどの開発と調達を行なう．
　実証実験で得られた成果については，Osaka Metro Groupの地下空間（地下鉄および地下街）に展開することで，大阪・関西万博に向けて早期に5Gへ適応した最先端の通信インフラ環境を整備していく．また，住友商事は，これまで東急株式会社や東京都港区と連携し，5G基地局シェアリングの実証実験を推進しているが．今後も，企業や自治体などと連携し，早期の5Gネットワーク整備に貢献すべく検討を進めるとしている．

写真はすべて住友商事提供