三菱重工グループの三菱重工エンジニアリング(以下:MHIENG)は,中国マカオ特別行政区(Macau Special Administrative Region)政府から受注していたマカオLRT(Light Rapid Transit)向け全自動無人運転車両システム(Automated Guideway Transit:AGT)の建設工事を完成させ,2019(令和元)年12月10日(火)に営業運転を開始したと発表した.これにより,三菱重工グループが海外で手掛けたシステムは,14路線目となる.
AGTシステムは,電力駆動により完全自動走行する新交通システムで,ゴムタイヤ方式を採用しているため走行が滑らかかつ低騒音であるのが特徴となっている.三菱重工グループのAGTシステムは,米国ではマイアミ,ワシントン・ダレス,アトランタ,オーランド,タンパの各空港で運転しており,質の高いO&M(運用・保守)サービスにより高い稼働率を誇っている.また,シンガポール,韓国,ドバイなど世界各地や日本国内で豊富な実績があり,国内外の新交通システム市場でトップを争う.
今回開業したのは,新興リゾートホテルが立ち並び,アジアのラスベガスとなっているタイパ島側の全10駅,9.3kmの区間.マカオは,年間の観光客が3500万人を超える世界屈指のリゾート都市であり,マカオLRTは,観光客のアクセスポイントとなる空港・フェリーターミナルやリゾートホテル群および住宅地を結ぶ新路線として計画された.なお,LRTは,元来Light Rail Transit(次世代形路面電車)の略称として広く使用されているが,マカオLRTは,その高速性能にちなんでLight Rapid Transitの略称としてあえて用いている.
建設工事は,伊藤忠商事協力のもと,マカオ特別行政区政府・運輸基建弁公室(GIT)から受注したもので,MHIENGは,AGTシステム(車両110両,信号・列車制御設備,供電設備,通信システム,軌道,メンテナンス設備,ホームドア,料金機械)を手掛けた.また,MHIENGは,開業後5年間にわたる車両のオーバーホールメンテナンス契約も受注しており,マカオLRTの運行についてもサポートする.
写真はすべて三菱エンジニアリングWEBサイトから