小田急箱根グループは,箱根エリアにおける総額100億円規模の投資計画を発表した.箱根登山鉄道では,3000・3100形のアレグラ号を2019年5月(予定)に2両,2020年に2連1本新造し,繁忙期には全列車を3連で運行する.2本ある2000形2連は2021年から2022年ごろにかけて,制御装置を更新し,空調装置も室内の妻面寄りから屋根上に改める.駅舎の改築は,箱根板橋,入生田,大平台,小涌谷の4駅が対象.ほかにも,ケーブルカーの車体更新や,新形ゴンドラ(TARIS)の導入,さらに水戸岡鋭治氏がデザイン設計する海賊船も建造する.(取材:大沼一英)
箱根登山鉄道では,車両運用の円滑化と,繁忙期において全列車を3両編成で運転するために最新車両「アレグラ号」を追加投入する.2019年5月に3000形(2両),2020年に3100形(2両固定編成,1編成)を導入予定としている.
車体の更新時期を迎える2000形車両(2編成)については,2021年から2022年ごろにかけて,制御装置の更新を実施する.あわせて,空調装置の搭載場所を室内から屋根上に変更することで,車内空間を拡充する.
また,箱根板橋,入生田,大平台,小涌谷の4駅では,老朽化更新と耐震強化を目的とした駅舎の改築を実施.箱根板橋,大平台,小涌谷の3駅については多目的トイレを新設する.塔ノ沢,宮ノ下,彫刻の森の3駅についても2018(平成30)年度から2020年度に,トイレの改修が実施される予定.
箱根登山ケーブルカーは,2021年の鋼索線開業100周年に向けて,現在のケーブルカー車両を内装,外装ともに大規模にリニューアルする.あわせて,ケーブルカー巻上設備を新造し,安全性を高める.リニューアル後の営業開始は2020年4月の予定.
箱根登山ケーブルカーから箱根ロープウェイへの乗換駅となる早雲山では,2020年春の営業開始を目標に,箱根登山ケーブルカー駅舎部を建て替えるとともに,箱根ロープウェイ既存駅舎と一体化し,駅機能の強化を図る.バリアフリーなど乗り換え機能強化に加えて,大文字焼きが行なわれる明星ヶ岳や遠く相模湾を一望できるテラスには足湯も設置する.
箱根ロープウェイでは,2021年4月に新形ゴンドラを導入する.より安全性の高いゴンドラを目指して,早雲山線早雲山—大涌谷間に安全性能に優れたスイス・CWA社製の最新形ゴンドラ「TARIS(タリス)」を日本で初めて導入する.扉開口部を大形化して乗降時の安定感を向上するほか,ゴンドラのガラス面の拡大で,より一層パノラマビューが楽しめるようになる.このほか,2018(平成30)年12月には大涌谷駅に待合室が新設される.
芦ノ湖の観光船を運航する箱根観光船では,2019年4月に新形海賊船を就航させる予定.内外装のデザインは,居住空間作りに定評のあるドーンデザイン研究所(代表:水戸岡鋭治氏)が担当.「心ときめくクルーズ」がコンセプトで,温かみのある木材を床から天井まで贅沢に使用し,調度品についても細部までこだわってクラシック感を演出.船体の色は湖面に映える上品な黄金色を採用する.なお,船の名称は2019年2月の進水式で命名される予定.
このほか,路線バス車両の増車と更新やバスロケーションシステムの導入,訪日外国人向けに観光WEBサイトと多言語パンフレットの充実を図る.
写真は特記以外小田急電鉄のニュースリリースから