三菱電機は,駅の改札通過から車両内まで,便利で快適な「将来の駅・車両の円滑な交通システム」のコンセプトを発表した.
同社からは,駅の改札,鉄道事業者向けツール,ICカードの活用の3点が提案されており,現状の駅の自動改札は,円滑な入退場を実現しているが,大きな手荷物を持った方や,車いすやベビーカー利用者がICカードをかざすことや狭いゲートを通り抜ける点に負担もある.また,介助が必要な方々への適切な支援や,車内での多様なニーズへの対応も求められており,今回のコンセプト開発の背景となっている.
駅の改札については,ゲートのないフラットな改札を提案している.これは,通過するだけで認証できる通信技術を活用し,ICカードのタッチも不要なほか,車いすやベビーカー利用者でもスムーズな移動が可能としている.また,認証内容により,通過可否(通過できる場合は青く表示)や通過する方向をわかり易くLEDで床面に表示する.
鉄道事業者向けツールは,駅舎内見守り支援ツールを提案している.このツールには,駅構内や車両内にいる利用者の位置を追跡する機能を搭載し,車いす利用者や視覚障害者,改札を不正通過した恐れのある人など,安全面で確認すべき人物の居場所を強調して表示し,容姿の把握も可能である.また,介助活動など駅での業務状況を駅員間で共有でき,スムーズな対応も可能としている.
ICカードの活用は,ICカード情報に基づく快適な車内サービス提供ツールを提案しており,座席への液晶モニター設置による車内サービス向上や,降車駅や遅延時間を考慮した目覚まし機能や個人の嗜好に応じた車内販売サービスの提案機能,乗車時間に応じた動画自動抽出・視聴機能を提案している.また,遅延などの状況表示および販売用カート現在位置の見える化により,利用者の不安や不満の軽減にもつなげる.
なお,上記のコンセプトは2017(平成29)年11月29日(水)から12月1日(金)まで幕張メッセで開催される,「第5回 鉄道技術展」(鉄道イベント11月16日掲載記事)でも同社のブース展示で紹介される.
写真提供:三菱電機