JR東日本は,「変電設備のスリム化」および「列車位置情報を用いた効率的な蓄電池の充放電制御」に関する実証試験を,内房線で行なうと発表した.
同社では,「技術革新中長期ビジョン」に掲げる「鉄道エネルギーマネジメントの確立」の実現に向けた取組の一環として,列車位置情報を用いた効率的な蓄電池の充放電制御の開発を進めており,今回,2017(平成29)年7月に内房線(君津―上総湊間)にある大貫変電所での試験装置の設置工事が完了したことから,実証試験を開始する.
変電設備のスリム化に関する実証試験については,変電所にある既存の複数の機器を,回生電力貯蔵装置に置き換えることで,変電設備のスリム化によるメンテナンスの省力化をめざす.試験では,変電所の機能がなくても回生電力貯蔵装置により電車が必要とする電力が供給可能かについて検証する.
JR東日本ですでに導入されている回生電力貯蔵装置(拝島変電所・桶川変電所・久喜変電所)では,架線電圧の値によって充放電を制御し,電車に電力を供給してるが,その結果,実際には電車が電力の供給を必要としない場合でも,架線電圧によっては充放電してしまうことがあり,蓄電池容量はこの不必要な充放電を考慮して決定される課題が生じていた.今回は,列車位置情報を用いた効率的な蓄電池の充放電制御を行なうことで,GPSによる列車位置情報を用いて適正な位置に列車が在線しているときのみ充放電することの優位性もあわせて,検証される.
なお,試験期間は,2017(平成29)年10月25日(水)から2018年6月までの予定で,試験終了後に装置は撤去される予定となっている.
写真:列車位置情報を用いた効率的な蓄電池の充放電制御のイメージ(JR東日本のニュースリリースから)