JR東海は,2018(平成30)年3月の完成に向けて製造中の「N700S」の確認試験車について,先頭車両の構体を2017(平成29)年10月1日(日)に報道陣に公開した.
「N700S」は,N700系以来のフルモデルチェンジとなる次期新幹線車両で,前面形状は,N700系のものを踏襲しつつ,3次元形状を考慮したシミュレーション技術を活用して進化させた「デュアルスプリームウィング形」を採用.左右両サイドにエッジを立てた形状により,走行風を整流し,微気圧波・車外騒音走行抵抗・最後尾動揺を低減する.
駆動システムに,低損失かつ高温下での動作が可能な次世代半導体「SiC(炭化ケイ素)素子」を採用するとともに,JR東海が独自に進化させてきた走行風冷却の技術を組み合わせることで,駆動システムの大幅な小形・軽量化を実現する.床下機器配置の最適化により,16両編成の基本設計をそのまま用いて12両,8両など,さまざまな編成長の車両とすることができる「標準車両」を実現する.
あわせて公開された客室モックアップは,普通車とグリーン車の2種類.
普通車は「機能的で快適な空間」をコンセプトとし,空調吹出口が側面パネルと一体化されている.座席には肘掛け先端にコンセントが設置され,全座席から電源が利用できるようになる.
グリーン車は窓側の座席ごとに荷棚と一体化した大形の側面パネルが採用され,N700系の「シンクロナイズド・コンフォートシート」からさらに進化した座席が採用される.
「N700S」は,確認試験車で営業車両に反映する新技術の最終確認を行ない,量産車は,2020(平成32)年度を目途に投入する方向で検討が進められている.
写真はいずれも編集部撮影 日本車輛製造(株)豊川製作所にて 2017-10-1(取材協力:JR東海)