JR東日本と三井物産は,イギリスのAbellio UK社(アベリオ UK社)と共同で,イギリスでの旅客鉄道運行事業フランチャイズのひとつであるWest Midlands(ウェストミッドランズ)旅客鉄道事業の運営権を,イギリス運輸省から獲得したと発表した.
JR東日本,三井物産およびアベリオ UK社では,2016(平成28)年11月に入札し,事業への参画に向けて受注活動に取り組んできたが,今回の受注通知を受け,イギリス運輸省と連携し,2017(平成29)12月からの本事業開始に向けて準備を進める.本事業の運営は列車運行会社「ウェストミッドランズトレインズ」が行なう予定.イギリスでは,民間企業が旅客鉄道運行事業の運営を担うフランチャイズ制度をとっており,地域ごとに分けられた各路線の運行事業者は,英国運輸省による入札によって決定される.
今回の事業は,ロンドンへの通勤路線,ロンドンからイングランド北西部の都市リバプールまでをつなぐ長距離路線,およびイングランド中西部にあるイギリス第2の都市,バーミンガムの都市圏輸送を担う.この事業運営にあたっては,イギリス運輸省から要請される新車両の導入による輸送力増強やロンドン・バーミンガム周辺の通勤混雑緩和,利用客への情報提供や輸送安定性の強化などのサービス品質向上の実現に向け取り組む.
なお,この事業はJR東日本・三井物産の両社が,共同で海外鉄道事業の運営に取り組む初の案件であり,JR東日本が海外鉄道運行事業に参画する最初の案件でもある.JR東日本では,グループが持つ安全や運行品質に関する幅広いノウハウを本事業へ提供することを通じて,イギリスでの品質の高い鉄道運行実現に努めるとともに,海外の鉄道事業発展へのさらなる貢献を目指す.また,三井物産としてはイギリス・イーストアングリア(East Anglia)旅客鉄道運行事業に続き,同国内2路線目の旅客鉄道事業参画となる.
写真上:現行事業者による運行列車
写真下:本事業の路線(JR東日本のニュースリリースから)