JR東海は,2020(平成32)年度に営業運転を開始する予定の「N700S」について,デザインを決定したと発表した.
先頭デザインは,N700系シリーズの形状を進化させた「デュアル スプリーム ウィング形」で,左右両サイドにエッジを立てた形状とし,走行風を整流することで更なる環境性能向上を図る.前照灯は,LEDを新幹線で初めて採用する.先頭形状を活かし,前照灯を拡大することで,照射範囲を広げ,視認性を向上する.車体カラーは,東海道新幹線の象徴である白地に青帯を踏襲.また,先頭部の青帯で「Supreme(スプリーム)」の「S」を表現している.
インテリアデザインは,ビジネスや観光など幅広い乗客のニーズに対応するため,機能性を考慮しつつ,くつろげる空間となるよう柔らかな曲面を採用.グリーン車では「ゆとりある空間と個別感の演出」を,普通車では「機能的で快適な空間」をコンセプトとする.空調吹出口を側面パネルと一体化し,広い吹出口を確保することにより,室内温度の均一化を図る.
また,グリーン車では窓側の座席ごとに荷棚と一体化した大形の側面パネルを採用し,一人ひとりの空間を演出する.照明はLED間接照明とし,天井を光学的に最適な形状とすることで,室内照度の均一化を図る.また,停車駅に近づいた際に荷棚の照度を上げ,乗客に荷棚にある荷物への注意を促す.車内テロップは,フルカラー液晶を採用し,画面サイズを拡大することで,案内情報の視認性を向上する.
グリーン車の座席は,N700系の「シンクロナイズド・コンフォートシート」をさらに進化させ,リクライニングの回転中心の変更とともに,座面と背もたれの角度を最適化することで,リクライニング時の太もも裏側への圧迫感を低減するなど,長時間座っていても快適な座席とする.フットレストを大形化しつつ,足元スペースを拡大するほか,読書灯の照射範囲が拡大される.普通車の座席は,背もたれと座面を連動して傾けるリクライニング機構を採用し,より快適な座り心地を実現.また,グリーン車同様,全座席にコンセントを設置する.
デッキはN700系を踏襲し,曲面形状のパネルを採用.トイレは,壁面の配色を光沢のあるツートーンカラーとすることで清潔感とやすらぎを提供する.また,スイッチ類を集約した操作パネルを採用し,利便性向上を図る.
なお,このデザインを反映させた「N700S確認試験車」は2018(平成30)年3月に完成する予定.
写真:JR東海「N700S」のデザイン(いずれもJR東海のニュースリリースから)