東京メトロは,2017(平成29)年の銀座線開業90周年にあわせて進めている銀座線全駅のリニューアルのうち,三越前駅・日本橋駅・京橋駅のデザインが決定したと発表した.
三越前駅は,江戸時代の呉服店から発展し,いまも老舗百貨店の伝統的で重厚感のある建築物が建ち並ぶ,魅力的な街の要素をモチーフとしたデザインを駅全体に取り入れる.渋谷方改札口(写真左)は,1923(大正12)年の開業時から残るアールデコ装飾を極力活かし,歴史と現代が融合した存在感が際立つ空間を演出することで,改札口としての視認性を高める.ホーム(写真右)は,柱が並び,各柱には,華やかな着物の生地のライトアップが施される.
日本橋駅は,橋の街をデザインコンセプトに,江戸時代から続く日本橋の歴史を伝え,にぎわいと活気が感じられる空間を演出する.銀座線は「橋の面影」,東西線は「橋からの景色」をコンセプトとし,路線の差別化を図る.
銀座線コンコース(写真左上)は,構造上,天井の低いコンコースについては,明るい天井と間接照明の柔らかい光で圧迫感の軽減を図り,手すりなどにはガラスを用いて,見通しの良い空間とする.銀座線ホーム(写真右上)は,壁・天井に木調の素材を用いることで,江戸時代の日本橋を想起させる空間を演出する.東西線改札口(都営浅草線乗換口・写真左下)は,周囲との仕上げ色のコントラストと光天井のゲートにより,視認性を高める.東西線ホーム(写真右下)は,舟底を連想する流線形の天井と水面をイメージした床により,日本橋からみえる景色を想起させるものとする.
京橋駅は,歴史的建造物や美術骨董品のギャラリーが残る近代的な街,歴史と近代が共生する街のイメージを表現.東京のガス灯発祥の地であることに着目し,モチーフとしている.渋谷方改札口(写真左)は,ガス灯をモチーフとした柱が改札口の存在感を際立たせ,視認性を高める.また,柱内から漏れる灯りは時間帯で変化し,一日を通してさまざまな表情を見せるものとなる予定.ホーム(写真右)は,ガラスのショーケースをイメージした柱が並び,各柱の上下からはガス灯をイメージした柔らかな灯りが漏れ,温もりのある落ち着いた空間を演出する.
今後,日本橋駅は2016(平成28)年11月から,京橋駅は2017(平成29)年1月からリニューアル工事に順次着手し,2019(平成31)年度に完了する予定で,三越前駅については2020(平成32)年度以降に着手する予定となっている.