2016(平成29)年8月11日(木祝)に鹿児島県南さつま市教育委員会主催で『南薩線廃線跡巡りツアー』が開催されました.南薩線とは,同市加世田をはじめとする地元住民の出資により誕生した私鉄「南薩鉄道」のことで,現在の鹿児島県下最大のバス会社「鹿児島交通」のルーツの一つでもあります.なお同線は1984年3月に廃止となっています.同市では2014年に同鉄道が「開業100周年・廃線30周年」記念事業を開催して以降,旧沿線に遺る廃線遺構を巡るバスツアーを開催しており,本年は加世田から伊集院を巡りました.
今回の目玉は,旧加世田駅構内に遺る同鉄道の車両群の見学でした.本企画に合わせて前日まで保存車両の化粧直しを自らで行なったという「南薩鉄道記念館」初代館長の有木道則氏の解説付きで,バス車庫内に保存されたドイツのハノーバー機械製造会社製の1・2号蒸気機関車と,新たに濃い橙色に化粧直しされ新製車両のような美しさを取り戻したキハ100形3号車の見学が行なわれ(通常は非公開),解説においては各車両のお化粧直しにおけるエピソードなども披露されました.
また,1号機関車ではエアーコンプレッサを使った「汽笛一声」も披露され,参加者全員を驚かせました.
なお,同市は今後も「南薩線」をテーマとした企画を同鉄道のファンと協力しながら,実施を検討されているとのことで動向が注目されます.
写真:旧加世田駅構内車庫にて 2016-8-11
投稿:冨吉 郷太